著者のコラム一覧
ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで」(光文社新書)などがある。

ディスる納言は酒浸りの薄と影の薄い安部が絶妙のバランス

公開日: 更新日:

 昨年、「翔んで埼玉」というコメディー映画が空前の大ヒットを記録した。バカバカしい設定で埼玉の田舎ぶりを皮肉った異色の「地方差別コメディー」は、なぜか地元の埼玉県を中心に熱狂的に支持され、興行収入は37億円を突破。日本アカデミー賞でも最多12部門で優秀賞を獲得して話題となった。

 同じ時期にお笑い界でも似たような芸風の芸人が出てきた。街をディスる(悪く言う)ネタで人気上昇中のお笑いコンビ・納言である。

 納言の薄幸(27=写真右)は、黒のライダースジャケットに身を包み、たばこを吸いまくり、酒を飲みまくるやさぐれキャラ。そんな彼女は漫才の中でたばこを吸う動作をしながら、首都圏の街を偏見交じりで強烈にイジり倒す。

「鴬谷はションベンくせえ街だな」「神田の女はすぐ金券ショップに入るな」「小岩の女は膝小僧が汚えな」など、一切遠慮なしの容赦ないイジりが笑いを誘う。

 字面だけ見れば相当きついことを言っているはずなのに嫌な感じにならないのは、薄のキャラクターによるものだろう。やさぐれている彼女が「下から目線」で捨てゼリフのように偏見を言うからこそ、笑って許してもらえるのだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    巨人・岡本和真「メジャー断念」に現実味…“元エースと4番”の同時流出はあり得ない?

  3. 3

    日本ハム栗山CBOが二刀流高校生のドラフト指名を示唆した本当の理由は《ソフトバンクけん制》か

  4. 4

    世界戦略を重視する名門ヤンキースが巨人・岡本和真に熱視線!両者は《相思相愛》との情報も

  5. 5

    与野党一騎打ち「自公落選危機」は23人!裏金、旧統一教会、高市推しが「凶」に【一覧あり】

  1. 6

    元ジャニーズひかる一平さんが語る 事務所退所後の苦労と性加害問題について思うこと

  2. 7

    日本ハム新庄監督「このまま退団」なら…球団、選手、コーチはドン引き&大ヒンシュクだ

  3. 8

    田原俊彦が干された真相…「BIG発言」だけではなかった

  4. 9

    巨人がマエケン獲得へ!カープ復帰は望み薄《夫人も在京志向できっと巨人》と広島OBも悲観的

  5. 10

    阿部巨人V奪還を手繰り寄せる“陰の仕事人” ファームで投手を「魔改造」、エース戸郷も菅野も心酔中