影山貴彦
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影山貴彦同志社女子大教授

▽かげやま・たかひこ 同志社女子大学学芸学部メディア創造学科教授。1962年、岡山県生まれ。早大政経学部卒。86年に毎日放送入社、「MBSヤングタウン」ほかテレビとラジオの番組を手掛ける。ABCラジオ番組審議会委員長、GAORA番組審議会副委員長、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「おっさん力」(PHP研究所)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。

節操ない政権に危機感 言葉があまりにも軽いときこそ疑う

公開日: 更新日:

 問題なのは、安倍政権が「オリンピックを開催しないなんてあり得ない」という前提で全てが進み、新型コロナ対策のためというよりも“何が何でもオリンピックを開催するために”イベントが突然中止になっているようにしか見えないことだ。コロナ対策を優先すれば、もっと前に計画的に進められていたはずで、エンタメ界も“日本は安全です”と言わんがために、ギリギリまで引っ張られて、シワ寄せを食った被害者のひとつになっている。一国の総理が自分の支持率を保つためなら学校を休校にし、出勤できない親から苦情が出たら、次は補助金を出しますと、猫の目のように節操なく対応を変えていく。安倍首相のやり方には「首相として東京五輪をやり遂げたい」という気持ちが透けて見える。

 エンタメは人寄せパンダなどと揶揄されることがある。それだけに送り手側が気を許したら利用されることは皆無ではない。社会はわかりやすさに流れがちで、難しいことを一言で言うことが社会ではもてはやされる。安倍首相と五輪界隈の参謀たちはわかりやすさに流れがちな国民の懐柔に長けている。本来、難しいものはそれなりに難しいものだ。言葉があまりにも軽いときこそ疑ってかからなくてはいけない。
安倍首相は吉本新喜劇の舞台に出演したり、エンタメを巧みに利用している。というより利用が度を過ぎているということに我々国民も危機感をもたなければならない。

(構成=岩渕景子/日刊ゲンダイ」)

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