「感染列島」が予見したコウモリの毒性と人工呼吸器不足

公開日: 更新日:

 新型コロナの蔓延については、政府の対応が後手に回ったとの指摘がある。政府が事前にこの映画を見ていればもっと明確に事態を予測できていたのではないかと思えるほど現在の状況に近いのだ。

 新型コロナの感染源は武漢市のコウモリとされているが、本作でもウイルスの宿主は東南アジアのコウモリだ。人工呼吸器が圧倒的に足りないのも今の日本の医療体制と同じ。映画では意識不明の幼い男児から呼吸器を外して大人の治療に使わざるえない。自衛隊が出動して町を封鎖。住民は狭い地域に閉じ込められ、パニックで物資の買い占めに走る。極限に追い詰められた人間の恐怖と集団ヒステリーが生々しい。松岡と栄子のロマンスを語る浪花節な演出はいかにも日本映画調で鼻白んでしまうが、まあ仕方ないだろう。

 映画と現実を比べると現実のほうが深刻だ。現下のウイルスは「ヒト・ヒト感染」が進むにつれて変異を起こし、より凶悪になった。武漢では子供は感染しなかったが、日本では0歳の女児が感染。英国では21歳の女性が死亡した。ウイルスが狂暴化しているのに若者はK‐1の試合に殺到し、ライブハウスで踊り狂っている。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  2. 2
    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

  3. 3
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  4. 4
    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

  5. 5
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  1. 6
    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

  2. 7
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  3. 8
    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

  4. 9
    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

  5. 10
    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う

    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う