ただの西部劇にあらず ドンパチに隠された「赤狩り」批判

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真昼の決闘(1952年 フレッド・ジンネマン監督)

 本作は1970年代によくテレビ放映され、筆者は中学時代に見た。その時はただの西部劇だったが、実は政治的テーマを持つ。赤狩りへの批判だ。

 主人公は新妻エイミー(グレース・ケリー)と結婚したばかりの保安官ケイン(ゲーリー・クーパー)。判事にバッジを返して退官し町を去ろうとしたところで、5年前に逮捕したならず者のミラーが釈放され、3人の手下とともに自分を殺しにくると知らされる。ケインは周囲の助言に従いエイミーを連れて町を出るが、保安官の使命を忘れられず途中で引き返す。武装隊を組織してミラーを迎え撃とうと考えたのだ。だが男たちはおじけづいて協力を拒否。エイミーは町を出ていこうとする。かくしてケインは一人で立ち向かうのだった……。

 ジョセフ・マッカーシーの赤狩りは48年から54年まで続いた。本作はそのさなかの作品。脚本を担当したカール・フォアマンは共産主義者で、この映画の完成後、英国に逃れた。劇中のケインが仲間に裏切られた共産主義者なのは説明するまでもない。

 ケインが結婚式を終えたのが10時40分で、ミラーが列車で到着するのが正午。映画の上映時間が1時間25分のため物語は劇場の時間と同じスピードで進む。赤狩りが同時進行で起きていることを暗示しているのかもしれない。

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