著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

美空ひばりさん逝去 同業者のポケベルが一斉に鳴った深夜

公開日: 更新日:

 かなりの量のお酒を飲んでいても見る見る真顔に変わる。肌身離さず持っているカメラバッグを抱え飛びだす態勢。「フィルムが少ない。2本ぐらい貸して」という者もいた。バッグを担いだ時点ですでにライバルモード。各編集部の指示を受ける。駆けつける先は亡くなった入院先の「順天堂医院」か、目黒・青葉台にあるひばり御殿の二者択一。時間は午前2時近かったと思う。写真が撮れるのは棺と親族。

 新宿からは病院のほうが近いが、時間的に間に合わない可能性が高い。大半は目黒へタクシーに相乗りして向かった。私はカメラマンだけを病院に行かせ、別のカメラマンと現地で合流する手はずにした。結果的に順天堂はストレッチャーに乗った遺体が出た後だったが、病院に駆けつけた岸本加世子の真っ暗な病院内を必死に探す姿が撮れた。

 私が目黒に着いたのはすでに3時を回っていた。一番乗りかと思いきや、先に玄関前で待つ2人の男性がいた。見ると着流し。後に分かったのだが、ひばりさんがひいきにしていた六本木の有名なゲイバーのママとスタッフだった。


 棺が家に入るところを辛うじて撮れたが、そのまま自宅前で待機。続々、報道陣がやってくる。寝ぼけた顔と酔っぱらった顔ばかり。空が白々と明けてくるに従い、有名人らも駆けつける。延々と自宅前にいるうち酔いも眠気もさめ、帰路に就いたのはお昼近かった。天安門事件とひばりさんの逝去が重なった1989年6月の出来事だった。

 偉大な人ほど亡くなった後も足跡をたどる取材が始まる。テレビは特番を組み、過去の映像を流す。週刊誌は改めて、ひばりさんの半生を掘り起こす記事が増えていった。私も初めてひばりさんの取材に関わった。 (つづく)

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