著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

晩年の美空ひばりさんが入院する病院に潜入した苦い思い出

公開日: 更新日:

 1989年6月24日、美空ひばりさんが52歳の若さで亡くなって今年で31年の月日が流れた。昭和の天才歌手は令和になった今も語り継がれている。私は生前のひばりさんに関する取材はほとんどしたことがなかった。ただ一度だけ、苦い思い出が残っている。

 87年4月、ひばりさんは公演先の福岡で倒れ市内の病院に緊急入院。2カ月近い入院生活を送っていた。病状も落ち着いた頃、たまたま別件の取材で福岡にいたこともあり、寄って様子を見に行った。

 本取材と違い割と気はラクだった。街中にあった古い病院。今はどこの病院もセキュリティーは厳しいものだが、当時はかなりアバウトで、看護師さんに「お見舞いです」と、ひばりさんの病室を聞くとあっさり教えてくれた。3階の突き当たりの特別室だったと思う。廊下に置いてあった長椅子に座り、病室の出入りを見ていた。

 1時間も経っただろうか、看護師さんが病室に入っていったのだが、ドアを開けたまま。思わず近づき、のぞいてしまった。

 奥のベッドの端で女性らしき人の動きが確認できた。とっさに簡易カメラのシャッターを押してしまった。家庭でも使う当時のカメラは自動フラッシュの装置付き。薄暗い廊下に反応して、フラッシュが光ってしまった。装置をオフにするのを忘れていたのだ。病室のひばりさんを撮ればスクープになる。記者の習性とはいえ痛恨のミス。看護師が出てきてひどく叱られた。取材の旨は伝えたが、弁解の余地はなく謝罪、撤退。念のため現像してみると、ベッドの横に立っているおばさんらしき人がぼんやりと写っていた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」