最強を目指す男・坂口拓の素顔と信念「一度は結婚したい」

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「陸自特殊部隊のアイドル」と崇められる男がいる。21日公開の映画「狂武蔵」(下村勇二監督)で主演を張る坂口拓(45)。同作品で宮本武蔵を演じる坂口は、77分のワンカットで588人を斬り倒す。撮影の開始5分で指が折れ、助骨や奥歯も砕けるが、カメラは止まらない。事前に決まっていたのはカメラと坂口の動線、そして休憩ポイント(竹筒で水を口に含むシーン)のみ。セリフも含めて、ほとんどがアドリブだ。前代未聞の一発撮りである。画面に映し出される姿は、何かにとりつかれた無双の剣士そのものだ。

■「ただ単にイカれてるだけ」

 最強を表現できる映画人として世界に認められたい――そんな願いを込めて、「戦劇者」と名乗る。アクション監督としても活動し、ニコラス・ケイジからは「いままでのアクション監督で一番」と信頼を得た。カット割りやCGに頼らず、肉体の限界に挑戦しリアルにこだわる。「ただ単にイカれてるだけ」と煙に巻くが、ストイックなまでに高みを目指す。

「ジャッキー(・チェン)と真田広之さんに憧れてこの世界に入りました。19歳からリアリズムのアクション芸を極めると決めて以来、これまで一度もその信念は曲げたことはありません。ゼロレンジコンバットを考案された稲川(義貴)先生に出会って戦闘術を学んだことも大きかった。ウェイブ(身体操作)という肩甲骨を使う技に未来が見えたのです」

 ゼロレンジコンバットは、日本古来の身体操作をベースに海外の武術を融合させた戦闘術。相手の武器を瞬時に奪い取って最小限の動きで倒そうとするのだが、それをベースに作ったウェイブは、肩甲骨をウェーブ(波)のように動かすことでよりリアルなアクションに見える視覚的な効果がある。

クラウドファンディングの支援額は780万円に

「狂武蔵」は実は全編91分のうち、77分間は9年前に撮影したもの。資金不足で製作の中断を余儀なくされたのだ。18年9月にプロデューサーの発案でクラウドファンディングによる支援プロジェクトを発足。YouTubeチャンネル「狂武蔵たくちゃんねる」の公開をスタートさせて、歯ブラシやコップ、ノートなど身近な物を使っての護身ハウツーを紹介した。戦劇者は“YouTuber”の肩書も持っている。

「クラウドファンディングでの支援総額780万円(目標額300万円)に加え、動画広告の収益も含めた資金で追撮を行うことができ、公開までこぎつけることができました。ありがたい話です。でも、ネットって怖いですね。ガラケーをやっと使いこなすような自分がパソコンをいじるようになって、アンチの書き込みも見るようになった。もちろん、広く認知してもらった証しだとは思うんですが、実際に目にすると多少なりともへこみます(苦笑い)」

 大好きなウイスキーをラッパ飲みし、気を紛らわす日々。最近は健全(?)な癒しも発見したという。

「横向きで前かがみの体勢で寝たらスネに手があたって、自分の足なのに女性を触っているような気分になって癒された。普段は2、3時間も眠れたらいいほうなのに7時間ぐっすり。もともと体毛は薄いほう。顔に刀傷をつくってもスネはツルツルを目指そうかな」 

アラフォー独身、結婚願望はある

 疑似の添い寝で満足するのは独り身ゆえだ。

「いい年になるのに俺、結婚していないんですよ。戸籍にバツがついたこともない。あきらめた? いや、一度くらいはしたいです……。ただ、バカのように突き進んできた頑固者と結婚してもいいという奇特な女性はそうはいないでしょうね。ハハハ」

 曲げない信念に犠牲はつきものか。

(取材・文=小川泰加/日刊ゲンダイ

▽さかぐち・たく 1975年、石川県生まれ。01年に映画「VERSUS―ヴァーサス―」で主演デビュー。17年に映画「RE:BORN」で主演。海外での知名度も高く、アクション監督や映画監督も務める。TAK∴の名義でも活動。8月21日からは山﨑賢人の出演部分などを加えた主演映画「狂武蔵」が公開。

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