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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

新型コロナと関係なく世の中自体がおかしくなっている

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 都立大の教授でもあり社会学者の宮台真司さんが、他紙でうまいことを言っていた。「アベ政権は終わっても、アベ政治は終わらない」と。まったく同感だ。格差とド貧困と人間差別にまみれた、このどん詰まり感は、菅政府になろうが変わらんどころかもっとひどくなるだろう。何が株価が上がっただ。仕手戦やインサイダー取引で儲けるやつだらけだ。何が低失業率だ。時間給でこき使われる非正規雇用社員が増えただけだろが。

 宮台さんは「アベ政権が終わってしまって残念」とも言う。食うだけの生活にくすぶり続ける若者と、いいことが何もなく日々を送る老人だらけの今の社会は「沈みかけた船」で、船内で人々が座席の取り合いをしてるだけなのだと。だから、沈むならダラダラ沈ませないでとっとと早く沈んだ方が、国民はすぐ反応して変化するのにと皮肉の意味で「残念」なのだ。菅政府じゃ、この「どん詰まり」社会はダラダラ、グズグズと続くままだ。

 今の日本人は、自分の「見たいものしか見ないようになってる」というのもうなずける。他人の不幸を笑うのは当たり前、ネットに匿名で人の悪口を文章力ゼロで落書きし、コトやモノの教養もなく、理解不能ならすぐパスして次の憂さ晴らしを探しにふらつき、心のド貧乏な自分世界に浸ることさえ無自覚なやつらが増えている。こんな種族を増やしたのは誰だ、何の政策がこうさせたんだ、給料ひとつ上がらないアベのダメミクスのせいだけか。正面から「バカモン!」と怒鳴れる人もいなくなった。この空気を生んだのも前政権と社会だが、声を上げればすぐはじかれる「ベーゴマ」社会を菅政権は引き継ぐだけだ。このどん詰まりを変えられるわけがない。

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