知り合った役者に「稼げる」と説得され32歳で芸人デビュー
舞台のエキストラをやめた三郎に声を掛けてくれたのが、人気歌手の坂本九だった。
「九さんはコマ劇場の公演の時に俺を可愛がってくれてね。やめたと聞いて、『ショーの司会をしないか』って声を掛けた。俺は何度も仕事をやめてるんだけど、そのたびに誰かが助けてくれる。運が強いんだよ」
確かに、三郎は運の強さを持っている。
「喜んで司会を引き受けましたよ。同じ頃、日劇ミュージックホールのオーディションを受けたら合格してね。ヌードショーの間の寸劇に出る仕事です。そんな折、コマ劇場で知り合った仲良太郎という役者に、『コントやらないか』と誘われた。俺は役者になりたくて上京したんで、『コントって、お笑い芸人じゃねえか。お笑いになるくらいなら大阪で吉本に入ってるよ』と断った。とは言うものの、寸劇の出番が多いわけじゃなし、稼げるからと説得されて、結局コンビを組むことになったんです」