著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

トミーズ十番勝負の舞台裏…健のために6時間の伝言ラリー

公開日: 更新日:

トミーズの巻(下)

 前回、生き残りをかけた「トミーズ十番勝負」が結果的に成功し、その後の礎を築くことができたことを書きましたが、この企画がスタートするには背景がありました。

 雅君は健ちゃんにガツガツとした意欲が感じられないと不満を募らせ(実はよくあるコンビの揉め事ですが)真剣に解散を考えていたのです。それを知った、なんば花月の担当者が仲裁に入り「新喜劇の後に時間をつくるからやってみて、それでダメなら解散しましょ」と提案したのです。

 まずはお互い腹を割って話そうと機会を設けたのですが……雅君が「もっとしっかりやれよ」「おもろいこと考えろや」と矢継ぎ早に言葉が出るのに対し、幼なじみからの主従関係がある健ちゃんはモジモジして言いたいことが言えない。そこで私が「健ちゃん、雅に言いたいことを俺に言うて。それを雅に伝えるから」と、目の前に相方がいるにもかかわらず、私が聞いて、雅君に伝えるという、コントのような伝言ラリーが6時間続きました。

 全部吐き出し、これまでの漫才の形を一回壊してゼロから始めることになり、単純に「雅・ボケ、健・ツッコミ」「健・ボケ、雅・ツッコミ」「健に物知りのキャラクター付けをする」等々、10本全部パターンを変えてやることを決めました。ところが、いざネタを作り出すと月に2本の新作なのでインターバルが2週間しかなく、全部変えるのは到底追いつかない。5本目あたりから一番お客さんの反応が良かった「雅・ボケ、健・ツッコミ」パターンを基本にしてネタ作りを進めていきました。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」