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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

新政権になってアメリカは正気を取り戻せるのだろうか?

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 サンフランシスコに撮影の仕事で、通称“オカマ通り”のレストランで売ってる世界一うまいという巨大ハンバーガーを試し食いに行った時も、メキシコ系のウエーターがこれまたやたら親切な映画青年で、S・マックイーンの「ブリット」でマスタングGTが爆走した有名な石畳の曲がりくねった坂道を教えてくれた。よっし、だったらオレもと、レンタカーでマスタングを借り、その坂道を駆け下り、ブリットになりきって有頂天だった。当時のアメリカの風景が懐かしい。ニューヨークやロスやニューオーリンズやメンフィスでも、街角には自由や平和のようなものは普通に転がっていた気がする。

 でも、9・11以降、正義と愛国だけをうたい、それ以外は後回しにするあの国に行く気は失せていた。ダウンタウンの様相も味わいがなくなったと聞いた。日本もそうだ。くつろげる喫茶店ひとつないんだから。もう「街」じゃないな。

 新政権になって、アメリカは正気を取り戻せるのだろうか。ワクチンの効果が出たなら、ニューヨークに、冒険の旅に出てやろうじゃないか。

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