著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

「ザ・空気ver.3」底知れない時代の闇を見据えた会心作

公開日: 更新日:

 はからずも会議室で3人の人生が交錯する。

 横松の熱は下がらず、何者かにとりつかれたかのように錯乱、昔に戻ったように辛辣な権力批判を口走り始める。そして彼自身も関わったという「学術会議任命問題」についての重大な秘密を放送中に暴露すると言い出す。大スクープに星野らは色めき立つが、そこに思わぬ「落とし穴」が……。

 前2作と同じく忖度(そんたく)や自己規制、自粛といった同調圧力がまかり通るマスメディアを題材に日本を覆う「空気」の正体を描いているが、今回は権力を追及する側の「落とし穴」を描くことでただの告発劇ではなく、自己批判を内包する批評性の深い作品になっていた。

 2つの人格を行き来する佐藤B作、反骨のジャーナリストを体現する神野三鈴の軽妙・真摯な演技が光る。時宜を得たギャグで笑いを取りながら底知れない時代の闇を見据えた永井愛の会心作だ。1時間45分。東京芸術劇場シアターイーストで31日まで。福岡、山形など地方公演も。

 ★★★★

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ベネズエラ戦惨敗は井端監督の「自業自得」…リリーフ崩壊は昨年末から始まっていた

  2. 2

    大谷も「勝てる要素のある試合」と悔いた 侍J最悪のWBC8強止まり…井端監督チグハグ采配の痛恨

  3. 3

    小栗旬がハリウッド“資本”映画で主演も… トラウマ級の英語力と「スター」への高い壁

  4. 4

    侍J選手を“殺した”井端監督の偏重起用、場当たり、塩漬け…こうして結束力に亀裂が生じた

  5. 5

    国立大学なら入学辞退率がゼロに近いはずだけど実態は? 有名私立と天秤にかけられる意外な大学

  1. 6

    「国宝」日本アカデミー賞10冠の陰で…森七菜“最優秀助演女優賞”逃した不運と無念

  2. 7

    侍Jを苦しめるNPB「選手ファースト」の嘘っぱち トレーナーの劣悪待遇に俳優・渡辺謙もビックリ?

  3. 8

    広瀬すず 映画賞受賞ラッシュでも残された大仕事「大河ドラマ出演」への“唯一のネック”

  4. 9

    「ガキ使」の没個性化が進む? 松本人志の“週替わりCM”で「本編」が希薄化の危機

  5. 10

    黄川田こども担当相の“ポンコツ答弁”が炸裂! 立憲・蓮舫氏との質疑で審議が3回も中断する醜悪