日本初常設公演「Venus of TOKYO」が話題! コロナ禍を逆手に取ったイマーシブシアターって?

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「イマーシブシアター」をご存じか? 客が自ら動き、作品に参加、各自のエンディングを持ち帰るという“体験型公演”のことで、6月から、お台場・ヴィーナスフォートで日本初常設公演「Venus of TOKYO」が上演中なのだ。コロナ禍だからこそフィットしていると聞き、記者も参加してみた。

 体感型作品といえば、国内では顔を青く塗った「ブルーマン」が有名だろう。ニューヨークのオフブロードウェーで始まり、水をかぶったり、エンディングの紙まみれなど面白体験が口コミで広まり、言葉を介さずパフォーマンスだけで見せるので世界中で人気だ。さらに客が能動的に動き回る体験型公演が同じくオフブロードウェーの「SLEEP NO MORE」。元ホテルだった5階建ての建物全てを舞台に、客が建物の中を歩き回り、マルチエンディングを迎えるというもの。「Venus――」は、この日本版といえる。

 集合場所は、ヴィーナスフォート2階の噴水広場。噴水の前では結婚式の写真撮影のカップルがおり華やかな雰囲気だが……集合時間になると、ドレスコードに合わせ、黒ずくめの客がそぞろ集まり始めた。受付で名前を伝えると、スタッフが注意事項の書いてあるボードを読むように無言で促し、Venusの世界観に突入。テーブル指定と登場人物の簡単な説明の書かれたリリースを渡され、同行者はバラバラに座らされる。

 舞台は秘密クラブのオークション会場。観客は出演者と同じオークションの参加者という設定で、物語が始まる。共通のパフォーマンスが終わると、テーブルごとに手招きされ、いくつかの小部屋を歩き、いつの間にか1人で建物を巡ることに。2、3階にまたがる建物内を歩き回り、登場人物の背景や思惑をパフォーマンスを見ながら情報収集する。

言葉を介さないパフォーマンスの強みを再発見

 舞台という線引きのない狭い場所で、客と接近し、時には客いじりをしながら踊るのは相当の技量を要する。パフォーマンスを担うのはイマーシブシアターの先駆け的存在のダンスカンパニー「DAZZLE」。精鋭ダンサーのパフォーマンスが“秘密を見てしまった”ような異様な緊張感をつくり上げ、言葉不要のパフォーマンスの面白さを体感させてくれる。

 最後はオークション会場に集約されるが、異なる経緯をもってエンディングを迎えるため、感想は大きく変わり、何度見ても決して同じにはならないという。

 同作は、コロナ禍にもさまざまな面でフィットしている。公演は終始無言。ナレーションは最低限に抑えられ、音楽とパフォーマンスがメイン。マスクが演者の小道具にもなっていて飛沫感染の心配はない。建物を自分の足で動き回るので空気環境も悪くない。会場は元飲食店と思われる大きなテナントスペースで、バックヤードなどがそのまま迷路のようになっている。これもコロナ禍で空きスペースができたからこそのギフトともいえよう。

 公演すら難しいエンタメ界だが、「Venus of TOKYO」は常設、「ブルーマン」も来年4月に来日公演を予定。コロナ禍を逆手に取ったエンタメも徐々に生まれているようだ。

(取材・文=岩渕景子/日刊ゲンダイ

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