著者のコラム一覧
増位山太志郎元大相撲力士

1948年11月、東京生まれ。日大一中から一高。初土俵は67年1月場所、最高位は大関。引退は81年3月場所。引退後は日本相撲協会で審判部副部長を務めた。74年「そんな夕子にほれました」、77年「そんな女のひとりごと」などがヒット。画家として二科展入選の常連。「ちゃんこ増位山」(墨田区千歳)を経営。

<5>親方の息子は出世しないといわれているのを知らずに力士の道へ

公開日: 更新日:

 今回はうちの話をしたいと思います。

 親父の先代増位山(大志郎)は兵庫生まれで貧乏だから、大阪の米屋に奉公に出て相撲の世界に入り、大関になった人ですが、僕の一家はおふくろの祖父も力士なので僕は4代目です。親父が大関、おふくろの親父は大阪相撲で関脇までいった玉の森、その親の3人兄弟も力士という力士一家です。

 福男の裸祭りで有名な岡山の西大寺には玉の森の碑も残っています。お寺が火事になった時に祖父が釣り鐘をおろして燃えないようにしたというので建立されたそうです。西大寺には資料も残っていて、おふくろの祖父、僕にとっての曽祖父は新選組とも闘ったと出ています。

 おふくろは陸上をやっていた人で、日本人女性として陸上で初めて銀メダルを獲得した人見絹枝さんに、岡山つながりでコーチしてもらっていたそうです。運動能力が高かったんですね。

ダメならちゃんこ屋でもやらせるか

 ただ、女は力士にはなれないから、親父と結婚し、次は僕がならないと力士の家系が途絶える。

 親父としては男の子が生まれて、やる気があるなら力士になればいい、やってもせいぜい幕下までだろうから、やめてからちゃんこ屋でもやらせるか、くらいに僕のことは思っていたみたいですが。

 というのも、当時、親方の子供が何人も力士になっていましたが、意外なことに十両以上になった人は一人もいなかったんですよ。上がっても番付は幕下まで。親方の息子は出世しないというジンクスまでありましたから。

 ただ、おふくろは中途半端なことは嫌いなので、ちゃんと上まで育て上げる気がないなら、反対すると言って譲りませんでした。

 中学、高校は日大一中、日大一高で水泳をやっていました。親父は帰宅してへたばって寝ている姿を見て、部活くらいでこれじゃ力士はとても務まらないと思ったようです。

■決め手は先輩のアドバイス

 でも、僕は何の疑問も持たずに、横綱になろうと相撲の稽古もやっていました。冬の連合稽古とか、幕下の稽古に飛び入りしたりして。

 当時は身長182センチ、体重も75キロくらいあって大きい方だったので、自分なりに力士になる自信もありました。親方の息子で十両以上になった人がいないなんて知らなかったし。

 一中、一高から明大に進んだ水泳部の先輩から「うちに来ないか」という誘いもありました。僕は先輩にはお世話になったし、義理もあるからと悩みましたが、若くして骨肉腫で亡くなった2年上の先輩から「自分の好きな道に進んだ方がいいよ」とアドバイスされ、「やっぱり力士になる」と決めました。

 同じそろばん塾に通ったり、よく遊んでいた友達に、大関から前頭まで落ちて2度目の敢闘賞を受賞し、「涙の敢闘賞」と言われた名寄岩さんの息子さんがいます。彼は僕より1年上で早稲田実業から銀行員になった人ですが、僕が相撲をやっていることを知って、すごく羨ましがっていましたね。=つづく

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  2. 2

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  1. 6

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  2. 7

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  3. 8

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  4. 9

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  5. 10

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  2. 2

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か

  5. 5

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  1. 6

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  2. 7

    三山凌輝に「1億円結婚詐欺」疑惑…SKY-HIの対応は? お手本は「純烈」メンバーの不祥事案件

  3. 8

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  4. 9

    佐藤健と「私の夫と結婚して」W主演で小芝風花を心配するSNS…永野芽郁のW不倫騒動で“共演者キラー”ぶり再注目

  5. 10

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意