(10)「2世俳優であっても、偽の俳優にはなるな。命懸けで、父親を超えていけ!」

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 ロサンゼルスに活動拠点を移して以降、何よりうれしかったのは男の子2人を授かったことだ。

 長男は私が57歳のときの、次男は還暦を過ぎてからの子供である。「いい年をして」と思う人もいるだろうが、私はそんなことは考えもしなかった。体力と気力さえ充実していれば、子育ては何歳からでも可能である。

 結果的には2人とも役者の道を歩むことになった。だが、それは自分で決めたことで、私から「役者になれ」と言ったことは一度もない。楽な道でないことは私自身が嫌というほど知っている。だから、ひと言忠告した。

「この世界には2世俳優がたくさんいる。パパの名前でチヤホヤされることもあるだろう。でも、そんなのは最初のうちだけだ。いいか、2世俳優であっても、偽の俳優にはなるな。命懸けで、父親を超えていけ!」

 真剣佑も郷敦もそんなことは覚悟の上だという頼もしい顔をしていた。

日米両国を股にかけて活躍できる役者になって

 彼らの大きな強みはネーティブな英語をしゃべることである。何しろアメリカで生まれ、アメリカでずっと育ったから、英語で苦労することはまるでない。日本で暮らし始めるまでは日本語の読み書きの方が拙かった。

 私が渡米後、最も苦労したのは英語である。マンツーマンでレッスンを受け、日常会話に困らない程度には上達した。しかし、自分の考えや主張を相手に正確に伝えるまでには至らない。

 当時、こんな夢をよく見た。私が英語のセリフを何度も間違え、そのつど撮影が中断するのだ。

「サニー! どうして、そんな簡単なセリフが言えないんだ。みんな迷惑しているぞ。君はもう明日から来なくていい!」

 今だから言えるが、日本に帰ろうかと思ったこともあった。

 私に限らず日本人俳優がハリウッドで活躍する上で最大の壁となるのは言葉だ。後輩の真田広之もハリウッド映画に出るようになり、英語はかなり上達した。しかし、それでも日本人なまりは出る。

 息子たちには何としてでも日米両国を股にかけて活躍できる役者になってほしい。すでに真剣佑はアメリカでの活動をスタートさせた。日本の人気漫画「聖闘士星矢」をハリウッドで実写映画化した「Knights of the Zodiac」に主演したのだ。

 この意義は計り知れない。ハリウッドでは主演を2度、3度と重ねることによって発言権が増していく。自分が出る作品を選べる、つまり脚本を選べるようにもなっていくのだ。私はすでに映画化可能な脚本を20本近く持っているが、そのほとんどは真剣佑や郷敦のために書いたものである。

 私がアメリカで果たしたかった夢は、日本の武士道の精神を描いた作品をハリウッドの映画会社で製作することである。その夢は息子たちが必ずかなえてくれるはずだ。(おわり) 

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