仲代達矢が貫く反戦平和と一生修業「不寛容だから、戦争が起きる」

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 仲代達矢(89)が役者70周年記念と銘打った、無名塾「左の腕」東京公演を完走した。昨年11月の能登演劇堂(石川県七尾市)を皮切りに九州、関西などを巡演し、毎回1時間半超、実に50以上の舞台に立ち続けているロングランである。

 松本清張の短編から、仲代自ら上演台本づくりに携わった。役柄は前科者であることを隠し、娘とひっそりと生きる飴細工売りの卯助。好々爺だが、包帯で覆った「左の腕」の入れ墨を暴かれ、窮地に陥るや、全身から凄みを発して立ち向かう。

 何でも効率優先で、不寛容になるばかりの世の中。物語に込めているのは空襲の惨劇、火の粉の中を生き延びた世代として「戦争だけはもう二度とやっちゃいけない」とのメッセージだ。

「不寛容だから、戦争が起きる。人間は平和の中で生きなければいけないんです」

 東京公演では、終幕のあとスタンディングオベーションが鳴りやまず、カーテンコールに応えた仲代が客席を見渡し、両手を合わせて祈るようにする姿が見られた。

■自ら稽古場のモップ掛け

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