著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(11)寒造りの酒蔵にて

公開日: 更新日:

 広島県安芸郡熊野町に、馬上酒造という小さな酒蔵がある。初めて訪れたのは、2023年の1月だった。そのときすでに蔵は発祥から130年を経ていた。

 広島というと東京者の私から見れば南国のイメージがあるが、馬上酒造のある土地は真冬にはよく冷える。それが酒造りにも適していると聞いた。

 話してくれたのは、この2年前に移り住んだ若き杜氏の村上和哉さん。広島県と滋賀県の酒蔵で蔵人として経験を積み、馬上酒造には杜氏の立場で加わった。

 県外への出荷はほとんどなく、地域の酒蔵として酒造りを続けてきた馬上酒造は、日本酒の消費量の減少に伴って生産を縮小し、蔵元兼杜氏夫婦で細々と営んできた酒造業に見切りをつけようとしていた。

 後継者のいない酒蔵と、経験と知識を杜氏として発揮したい村上氏が出会い、酒蔵復興の物語が始まった。私が取材で訪れたのは、村上氏が蔵へ来てから1年半ほど経ったときだった。

 朝一番の飛行機で広島へ入り、昼過ぎから酒蔵の来し方と村上氏との出会いなど、さまざまな話を伺い、夜は、街へ繰り出し、馬上酒造が醸す「大号令」を飲みながら酒談義に花を咲かせた。

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