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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

NHK「サタデーウオッチ9」番組がもてなすべきはゲストではなく視聴者だろう

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 新番組を始めるなら、はっきりと示すべきことがある。番組の「ウリは何か」だ。特に第1回では、他局や自局に存在する同ジャンルの番組との違いを鮮明にする必要がある。2日(土)夜にスタートした「サタデーウオッチ9」(NHK)はどうだったのか。

 司会は赤木野々花アナウンサー。古舘伊知郎と組んだ「日本人のおなまえ」や谷原章介との「うたコン」など、エンタメ系のイメージが強い。赤木の抜擢には“カジュアルな報道番組”といった狙いがあるのだろう。冒頭の挨拶でも「ホットなニュースをより深く、より分かりやすく」伝えると宣言していた。

 初回のゲストは香取慎吾だった。驚いたのは、ウクライナ情勢から経済やスポーツまで、全てのコーナーでコメントを求めていたことだ。もちろん、ウクライナ問題では防衛研究所の専門家の解説がメインだったが、全体がゲストに対するプレゼンのように見える。

 中でも「推しプレ!」のコーナーは香取が話しやすいアートがテーマで、その“おもてなし感”が気になった。番組がもてなすべきはゲストではなく視聴者だろう。

 しかも、番組の最後で香取が出演する新番組「ワルイコあつまれ」が紹介された。つまり、「チコちゃんに叱られる!」などでも目につく、番宣ゲストだったのだ。これが新たな報道番組の“ウリ”でないことを祈る。

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