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荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<99>何もすることがなくなる「乗って3駅目」にすごくいい顔になるんだよ

公開日: 更新日:

NYの地下鉄で同じようなことをやっているヤツがいた

 顔を1年ぐらい撮ってて、これを本にしようって、地下鉄の、サブウェイポートレートってやろうと思ったら、オレより10年前に、ウォーカー・エヴァンスってヤツがオレのマネしてやってたんだよね。ニューヨークの地下鉄でまったく同じようなことをやってたんだ。

 それを知って、当時は写真集を出せなかった。マネしたと思われるとカッコ悪いだろ(エヴァンスは1938年から41年にかけてNYの地下鉄に乗車する人々をコートにカメラを隠して撮影。1966年に『MANY ARE CALLED』というタイトルで出版された)。

 まあ、そういう発見って、たいてい同じことを考えてる人が世界のどこかにいるもんだな。40年後に出したのが、『SUBWAY LOVE』なんだよ。

 その頃、地下鉄にすべて、人生っていうかさ、ポートレートっていうかさ、写真のことが全部出てると思ったんだよ。たまたま自分の前に座った人との偶然の出会いとかも、おもしろくてさ。地下鉄の前に座った人の顔に、人生がいちばん出てるんだよね。

(構成=内田真由美)

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