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荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<100>写真集タイトルは「嘘」、4月1日の日付で撮ってたんだから

公開日: 更新日:

 写真に日付を入れた「写狂老人日記」っていうのを、ずっと続けてるんだよね。この『』(2014年刊写真集)も、「写狂老人日記」の一冊なんだけど、心境としては「日記」じゃなくて、「歳時」だね。時の記録、変わっていく時々刻々の記録だよ。一日という単位じゃ長すぎる。だから、2014年の4月1日という一日だけを写したんだ。

 日付が4月1日のエイプリルフールね。これもだいたい撮った順だって言ってんだけど、みんなデザイナー任せだよ(笑)。その前から4月1日の日付で撮ってたんだから。そういうのがあるわけ、お遊びがさ。

 タイトルの『』というオレが書いた字も、無意識に書いてたけど後で見たら、偏の「口」が丸っぽくて、あっ、なるほどレンズだよなって。後からこじつけがうまいんだ(笑)。虚を撮るということ。なんとなく、自然と写真論になってきたね(笑)。そういうふうに見た人が思ってくれるといいじゃない。「嘘」は<うつろ>なレンズ、レンズが写した<うつろ>、どっちかだな。

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