不評の「安倍国葬」に参列するのは、秋篠宮ご夫妻には大きなリスク

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 エリザベス女王の国葬が19日に行われるが、日本からは天皇皇后両陛下が参列されることになった。それに対し、影が薄い安倍晋三元首相の国葬だが、その正当性をめぐって批判は高まるばかりだ。

 天皇が崩御した時、国の儀式として「大喪の礼」が執り行われることは皇室典範も定めている。しかし、民間人の国葬には「明確な法的根拠が存在しない」というのが、これまでの内閣法制局の見解だった。だから、吉田茂元首相の「国葬」を例外に、首相の国葬は行われてこなかったのである。

 その後も法律が制定できなかった。戦前なら天皇が偉勲ある者に国葬を下賜すればよかったが、新憲法下では内閣と議会が承認することになる。そうなると「偉勲者」は国民の多くが賛同できるような国家的な功績をあげた人となり、決められなかったようだ。

 だから、安倍元首相の国葬にも「偉勲者」に値する根拠が必要だが、では、国民がこぞって弔意をあらわしたくなる実績を残したのだろうか。

 第1次安倍内閣の「再チャレンジ」はいつの間にかウヤムヤになり、アベノミクスも成果が出ず、労働生産性も給与も上がらず、いまだに失われた30年が続いている。規制改革には手をつけられず、産業構造が旧態依然のままだ。外交といえば拉致問題は未解決、お友だちのプーチンとは27回も話し合いながら、北方領土問題は1ミリも進展しなかった。それに加えて加計学園問題、森友問題とウサンくさい話が噴出し、存命中なら政治家としてアキレス腱になったに違いない「統一教会」との密着が暴露されている。

 確かに8年8カ月と歴代最長の首相を務めたが、国民はどれほどの恩恵を受けただろうか。

 たとえ国民から大ひんしゅくを買っても、9月27日には日本武道館で「国葬」は行われるだろう。

 7月末に、安倍元首相の「国葬」に皇族方の参列を依頼する文書が、岸田首相から宮内庁長官宛てに届いた。皇族に向けての依頼だったという。通常、天皇皇后両陛下は侍従らを使者として遣わすのが慣例で、参列するのは皇族だ。

 吉田元首相の国葬にならえば、今回は秋篠宮ご夫妻となる。しかし、これが問題なのだ。

■秋篠宮さまにさらなるダメージにならないか

「政府から参列の依頼があったのに、参列されなければ国葬に反対していると受け取られかねず、それではまずいと宮内庁の幹部が語りました。だから、出席の方向で調整しているということですが、これは大きなリスクです。秋篠宮さまは眞子さんの結婚問題で今も大きなダメージを受けています。そのせいか、伊勢神宮に参拝されるなど、お出かけをしても歓迎する人はまばらです。国民に不評をかっている安倍元首相の国葬に出かけていったら、さらにダメージが広がりかねません。宮内庁は皇室のためにあるなら、真っ先に皇族を守ることを考えるべきでしょう」(皇室ジャーナリスト)

 かつて大平正芳首相は在任中に死去して、国民葬よりも低い合同葬で執り行われたが、ふたを開けてみると海外からの首脳が多数参列し、「喪服外交」が行われて大盛況になった。しかし今回はウクライナでの戦争もあり、それどころではない。そうなると、秋篠宮さまにとって「国葬」に参列することはリスクでしかないというのだ。

「国民が大反対しているところへノコノコ出かけていくのは、火中の栗を拾うようなものです。一歩間違えば、国民に見放されかねません。政治家は皇室を利用すべきではないのです」と皇室関係者は心配している。とはいえ、政府の依頼をむげに断るわけにもいかず、秋篠宮さまの胸中は四面楚歌かもしれない。 (つづく)


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