「市川團十郎・新之助」襲名披露公演が始まり歌舞伎座にかつての日常がようやく帰ってきた

公開日: 更新日:

 次世代の弁慶役者候補の染五郎、巳之助、左近が四天王で出ており、舞台の上で、市川宗家の芸を見つめている。その視線が交錯し、見えない火花が散っているのも、見どころのひとつ。

 夜の部に口上。従来、市川宗家の襲名では数十人が舞台に並んでいたが、コロナ対策もあってなのか、当事者2人を含めて7人のみ。大幹部だけで、團十郎と同世代の役者は出ていない。そのせいもあって、どちらかというと、十二代目の話題のほうが多い。

「助六由縁江戸桜」では、團十郎の助六に、尾上菊之助が揚巻、尾上松緑が意休と、かつての新・三之助が久しぶりに舞台に並んだ。

 菊之助の揚巻は、平成16年の海老蔵襲名の地方での公演以来で、歌舞伎座では初となる。最近は立役が多い菊之助だが、この揚巻で、女形としてのトップクラスの美と技芸を改めて示す。松緑の意休も初役だが、堂々たるもの。

 単に團十郎の襲名披露だけでなく、團十郎、菊之助、松緑、幸四郎、猿之助の5人が、いまの歌舞伎の中心だと鮮やかに披露している。

(作家・中川右介)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「ブラタモリ」抜擢の桑子真帆アナ “金髪チャラ系”の大学時代

  2. 2

    巨人に漂う不穏な空気…杉内投手チーフコーチの「苦言連発」「選手吊るし上げ」が波紋広げる

  3. 3

    大の里、豊昇龍の両横綱も戦々恐々…「新怪物」加入で躍進止まらぬ伊勢ケ浜部屋の巨大戦力

  4. 4

    82歳で死去の橋幸夫さんが日刊ゲンダイに語っていた「佐川急便事件」と「統一教会」のバッシング報道

  5. 5

    星野監督は中村武志さんを張り倒した直後、3ランを打った隣の俺にも鉄拳制裁…メチャクチャ痛かった

  1. 6

    御三家の生き残り舟木一夫の“傷だらけの人生”と、兄貴分だった故・橋幸夫さんも太鼓判のサバイバル術

  2. 7

    小祝さくらは「加齢の影響」漏らしていた…ツアー6週連続欠場の深刻度

  3. 8

    (1)身内すらも“監視し欺く”情報統制…機密流出犯には厳罰、まるで落合博満監督のよう

  4. 9

    元幕内照強の“しょっぱい犯罪”に角界も呆れた…トラブル多数現役時代の「ヤンチャ」な素顔

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋