著者のコラム一覧
桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

NHK朝ドラ「舞いあがれ!」で輝いたのは脇役の面々 むしろメインより印象に残った

公開日: 更新日:

ばんば高畑淳子、最古参従業員の古舘寛治、編集者のリュー北條

 新劇女優の実力を見せつけたのはばんば、祖母を演じた高畑淳子。舞の子供時代が今も強く印象に残っているのは五島列島の美しい空と海の景色、そして高畑の名演技のおかげ。鈴木浩介、哀川翔長濱ねるのチーム五島もいい雰囲気を醸し出していた。

 吉川晃司演じる航空学校の大河内教官もよかった。こういう寡黙で冷徹そうで実はいい人がよく似合う。柳葉敏郎陣内孝則とともに白髪の似合うイケオジとして、活躍して欲しい。

 寡黙といえば、岩倉螺子製作所の最古参従業員笠巻を演じた古舘寛治もいい味を出していた。

 舞の幼なじみ久留美役の山下美月とその父・松尾諭も、ダメ父とそれを支えるけなげな娘の組み合わせはドラマに溶け込んでいた。

 古本屋「デラシネ」の主人・又吉直樹も神出鬼没な不思議キャラにぴったり。

 後半光ったのは、舞の恋敵・秋月史子役の八木莉可子。14歳でポカリスエットのCMに抜擢され、現在21歳。いずれ朝ドラのヒロインになりそうな逸材だ。

 そして、なんといってもこの人、人をイラッとさせる物言いと不愉快な態度で、視聴者を一瞬にしていらつかせた出版社、貴司の担当編集者リュー北條役の川島潤哉だ。いい人だらけの中で唯一の悪者(!?)を見事に演じた。

 もっとも、彼と秋月のおかげで舞と貴司が結婚することになるので、キューピッドといえなくもない。朝ドラはこれで6度目の出演。ちょうど同時期「鎌倉殿の13人」に中原親能役で出演しており、今後はクセつよ脇役として重宝されそう。

 良くも悪くも朝ドラは一番見られているドラマなので、ここをきっかけにブレークする俳優も多い。そういう逸材を見つけるのも朝ドラの楽しみ方だろう。

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