著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

坂本龍一さんは政治に従属を強いられる芸術の「居場所」を案じていたのではないか

公開日: 更新日:

 先の日曜(4月2日)の夜、長時間のテレビ収録を終えたぼくは、ゴスペラーズ黒沢薫邸に向かっていた。日付が変われば黒沢くんは52歳になる。おめでたい。気の合う仲間で集って祝おうじゃないか。奇しくも、昨秋他界したぼくの父親も同じ日の生まれ。音楽の愉しみを教えてくれた父が初めて黄泉で迎える誕生日に、いまを生きる音楽仲間たちとグラスを合わせるのは悪くないアイディアかも。そんな自画自賛的な気持ちもあった。

坂本龍一さん死去」

 タクシーの後部座席で開いたスマホのポップアップ通知に息を呑んだ。誘導にしたがって本記事を読むと、すでに先月28日に死去して家族葬も営まれたとあるではないか。享年71。黒沢邸に着いてもその話題でもちきりだった。

 坂本さんが癌の「ステージ4」であることは、昨年6月に公表されていた。ぼくはラジオ収録でNHKに15年近く通っているから、昨年9月、同局内の509スタジオが彼のためにずっと押さえられていたことも知っていた。容赦なく体力を奪う病魔との力くらべのような命懸けのピアノ独奏が、8日間に分けて509で撮影され、年末の配信コンサートに結実した。それが最後のライブパフォーマンスになるという悲壮な覚悟が本人にはあったという。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁