ノーベル賞文学賞を受賞した大江健三郎は文化勲章は辞退した
大江健三郎(2023年3月3日没 享年88)
大江の死を知って、黒川祥子の『同い年事典』(新潮新書)を開いた。
1935年1月31日生まれの項に大江と成田三樹夫が並んでいる。悪役が似合った俳優の成田は山形県酒田市の出身で私の小、中、高の先輩である。
大江と成田が出会ったことがあるのかどうか、私は知らない。誕生日が同じ2人が会ったら、どんな話をしたかと想像するのは楽しいが、1935年生まれには、他にエルヴィス・プレスリーや美輪明宏、筑紫哲也、そして、アラン・ドロンがいる。
プロデューサーの久世光彦も同い年だが、久世は大江の小説を読んで、作家になるのを断念したと、どこかで告白していた。
愛媛出身の大江は映画監督の伊丹万作の娘のゆかりと結婚したが、それで「騙されたということは不正者による被害を意味するが、しかし、騙されたものは正しいとは、古来いかなる辞書にも決して書いてはないのである」と喝破した「戦争責任者の問題」を含む『伊丹万作エッセイ集』(筑摩書房)の編者となっている。ゆかりの兄が大江と高校で一緒だった伊丹十三である。