ジャニーズ事務所がもくろむ性加害問題「最低最悪の落としどころ」…狙いは忖度と風化

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性加害問題を報じ始めたTV各局もジャニタレントを依然起用

 被害者への賠償金うんぬんの話も、推定資産はジュリー社長個人でも数十億円規模、来年の「嵐」復活で100億円規模の興行を予定するジャニーズの財務状況なら十分に対応できる。今後、たとえ訴訟沙汰になったとしても、「むしろウエルカムなのでは」と前出の関係者はこう続ける。

「ジュリーさんをはじめ、現ジャニーズ経営陣には責任がないという証明する機会にもなりうるわけですから。国連が数百人規模とみとめたジャニー氏の性加害も、現実に、それらすべてを法廷で立証するのはむずかしいし、被害者が全員、名乗り出てくるとも思えない。内々に、被害を申し出てきた元ジュニアたちに補償金を渡していけば、それで問題は収束していくというシナリオを描いているようにみえます」

 作業部会メンバーは来年6月、国連人権理事会に今回の調査報告書を提出するという。当事者の会副代表の石丸志門氏は「人類史上、最凶の性虐待事件がようやく明らかになった」とし、問題解明を期待していたが、それらも、ジャニーズにはどこ吹く風で、痛くもかゆくもないという落としどころになってしまうのか。

 当事者の会の記者会見で、法曹関係者は国内メディアの反応をみて危惧したそうだ。

「日本のメディア企業は数十年にわたり、ジャニーズ創業者の性的搾取のもみ消しに加担してきた。国連作業部会がそう会見でも指摘したのに、会見場にいたメディア関係者からは当事者意識が希薄に感じました。ジャニーズに何を求めるのか、謝罪と補償金ならどんな謝罪でどのくらいの補償金なのかなどと質問し、石丸氏が『そんなことを聞かれて、答えられる人はいますか』と色をなしていたのが印象的でしたね」(法曹関係者)

 その石丸氏は「この問題は現実に起こったことです。国連は記者会見の場で疑惑という言葉は使っていない」とし、国内メディアに公正な報道を求めていたが、「疑惑」との報道はなくなってはいない。

 また、性加害問題をようやく報じ始めたテレビ各局も、一方では依然としてタレントを起用し続けている。「忖度はなくなっていない印象」とこの法曹関係者は続けた。

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