著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

NHKの教養バラエティー「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」三拍子揃ったVTRは出色の出来

公開日: 更新日:

 この春、5周年を迎える「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」(NHK)。今やNHKを代表する教養バラエティー番組となっている。

 司会の有吉弘行とカネオくん(声は千鳥ノブ)やゲストとのやりとりが楽しいが、番組を支えているのはそれだけではない。何よりカネオくんの突撃調査、つまり取材VTRの出来の良さがある。

 先週は特別編として、いくつかの「製造工場」を見せていた。たとえば、静岡県の工場では毎日20万丁もの豆腐を生産している。大豆を水にひたす、豆乳の抽出、同じサイズに切るなどの工程を追っていたが、驚いたのは専用ロボットによるパック詰め。容器に豆腐を入れるのではなく、豆腐に容器をかぶせていくのだ。

 また、ケーキ工場では1500万円の「卵割りマシン」が、1日に50万個の卵を処理。次に5000万円の「超ロングオーブン」がスポンジを焼き上げるが、仕上げは機械と職人の協働作業となる。しかもショートケーキにイチゴをのせるのは、型崩れしないよう、店に到着してから行っていた。そんな工夫も小さな発見だ。

 綿密な取材。丁寧な編集。わかりやすい説明。三拍子そろったVTRをより完璧なものにしているのが、視聴者の驚きや疑問を代弁するノブの話術と、明瞭かつキュートで耳に心地よい小坂由里子のナレーションだ。長寿番組の秘密はこういうところにもある。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  3. 3

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  4. 4

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  5. 5

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  1. 6

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  2. 7

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  3. 8

    維新のちょろまかし「国保逃れ」疑惑が早くも炎上急拡大! 地方議会でも糾弾や追及の動き

  4. 9

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  5. 10

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方