安倍元総理を演じる5日前に“あの事件”が…ザ・ニュースペーパー福本ヒデさんが振り返る

公開日: 更新日:

増上寺でのお葬式、翌日の舞台ネタを念仏のように繰り返し唱えた

 そこから13日の本番までにネタをどうするか悩みました。2時間のステージで安倍さんが出て何を話すか。考えても答えが出ない。メンバーもみんな無言です。お客さんは笑いに来てくださるので、僕が泣いたりしたらステージが台無しになってしまう。

 でも、いま一番のニュースにまったく触れないのはおかしい。やるからには、やっぱり笑いにしなきゃいけない。悲しんで終わりにだけはしたくないと思いました。

 そして考えに考え抜いたネタを、増上寺でのお葬式の間、念仏のように繰り返し唱えまして、安倍さんの亡きがらの前で「これを明日やらせてもらいます」と祈るように伝えました。そして翌日の本番。安倍元総理登場のテーマ曲「アベ・マリア」が流れ、涙を流すお客さんもいる中、ステージに上がりました。

「(安倍晋三のマネで)先日の参議院選挙でわかった一番大事なことは人の命を奪ってはいけないということです」と切り出したら深刻なムードになって。

 続けて「今日お越しのみなさんは全員が素晴らしい。なぜなら生きているからです。生きているから博品館のエレベーターが狭いとか待ち時間が長いとか、こんなに冷房が効いてるなら上着持ってくればよかったとか感じることができて笑えるんです」と亡くなった方じゃないと言えないことを言ったら、悲しみからだんだん笑いに変わり、泣き笑いのステージになりました。

 そして「いずれ向こうで会いましょう。その時は憲法改正、北方領土の問題や拉致問題がどうなったか、一番気になっているアベノマスクがどうなったのかも聞かせてください」。続けて、会場の様子を見ながら、「いずれ向こうでお会いしましょう……それが近い方もいらっしゃる感じがしますけど」と(笑)。

 風刺コントをやっている集団としてはそれが精いっぱいでしたね。

■誕生日パーティーの余興でガチでネタをやったら支持者から大ブーイング

 安倍さんとは何度も会う機会がありました。初めて会ったのは安倍さんが総理を辞めて1年経った時。昭恵夫人がニュースペーパーの公演にいらして誕生日パーティーの余興を頼まれたんです。当時、僕は忖度を知らなかったんで(笑)、ガチでネタをやったら、みなさん安倍さんの支持者ですから、ものすごいブーイングでした(笑)。

「桜を見る会」には2回呼ばれました。首相公邸でのクリスマス会の余興にも2回。1回だけ「どうも安倍晋三です。本当に楽しかったです。また何かありましたらよろしくお願いします」というお礼の電話もありました(笑)。昭恵夫人いわく安倍さんはいろんな方にしょっちゅう電話していたそうです。

 安倍さんの役は今も時々やっています。「天国からやってきました」って。安倍さんの立場で岸田さんにアドバイスもできますしね。

「裏金問題を安倍派のせいにして。私はやめろって言ったのに本当に迷惑してます。でも、私のせいにしたくなるのはわかります。私は森友、加計学園、桜を見る会と、うやむやの三冠王だったんで。私のせいにすれば、みんなうやむやにできるって思ってるんです」

 なんて安倍さんに代弁してもらう形で。

 これからも安倍さんをやっていこうと思っています。ただし、場所をわきまえて。これぐらいやっても大丈夫かな、今日はこれぐらいにしておこうとか。お客さんの反応を見ながらですけど。

(聞き手=浦上優)

■ザ・ニュースペーパー7月公演「THENEWSPAPERPART104」(7月11~14日は各2回公演・15日は13時1回、場所は銀座・博品館劇場)最新DVD「ザ・ニュースペーパーLIVE2023」新発売

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  2. 2

    ポンコツ自民のシンボル! お騒がせ女性議員3人衆が“炎上爆弾”連発…「貧すれば鈍す」の末期ぶりが露呈

  3. 3

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?

  4. 4

    Snow Man目黒蓮と佐久間大介が学んだ城西国際大メディア学部 タレントもセカンドキャリアを考える時代に

  5. 5

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  1. 6

    田村亮さんが高知で釣り上げた80センチ台の幻の魚「アカメ」赤く光る目に睨まれ体が震えた

  2. 7

    草間リチャード敬太“全裸騒動”にくすぶる「ハメられた」説…「狙った位置から撮影」「通報が早い」と疑問視する意見広がる

  3. 8

    国民・玉木雄一郎代表の“不倫相手”元グラドルがSNS凍結? 観光大使を委嘱する行政担当者が「現在地」を答えた

  4. 9

    「ばけばけ」で注目の阿佐ヶ谷姉妹の“姉”渡辺は公立女子校の超名門「宇都宮女子」出身

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  2. 2

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  3. 3

    Snow Man目黒蓮と佐久間大介が学んだ城西国際大メディア学部 タレントもセカンドキャリアを考える時代に

  4. 4

    ポンコツ自民のシンボル! お騒がせ女性議員3人衆が“炎上爆弾”連発…「貧すれば鈍す」の末期ぶりが露呈

  5. 5

    高市新政権“激ヤバ議員”登用のワケ…閣僚起用報道の片山さつき氏&松島みどり氏は疑惑で大炎上の過去

  1. 6

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  2. 7

    田村亮さんが高知で釣り上げた80センチ台の幻の魚「アカメ」赤く光る目に睨まれ体が震えた

  3. 8

    自維連立が秒読みで「橋下徹大臣」爆誕説が急浮上…維新は閣内協力でも深刻人材難

  4. 9

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?

  5. 10

    「連合」が自民との連立は認めず…国民民主党・玉木代表に残された「次の一手」