オダギリジョーが「THE オリバーな犬」シリーズでみせる監督魂
2021年にはNHKの連続ドラマでは演出・脚本・出演・編集を担当
ここから監督として注目度が高まり、2021年にはNHKの連続ドラマ『オリバーな犬、(Gosh‼)このヤロウ』の演出・脚本・出演・編集を担当する。こちらは池松壮亮演じる警察犬のハンドラー・一平と、相棒の警察犬オリバーが活躍するコメディーミステリーで、オダギリは一平の目には女好きで着ぐるみを着たおじさんにしか見えないオリバーを演じた。作品は東京ドラマアウォードの単発ドラマ部門でグランプリを受賞し、翌年続編も作られるほどの反響を呼んだ。
そして今作・映画版は、ドラマに登場した佐藤浩市演じるコニシさんが行方不明になり、一平とオリバーが捜索に乗り出す。ただこれは導入部で、作品の核になるのは中に入ると不思議な世界へ導かれる謎の扉の存在。常識が通じない不思議な世界を作るため、8月18日の完成披露上映会では、完成品の一歩手前の映像しかお披露目することができなかったほどのこだわりぶりを見せた。
麻生久美子や永瀬正敏などドラマからのレギュラーに、鹿賀丈史や深津絵里も加わったクセの強いキャラクターが織りなす、クセの強い物語に、おそらく観客はさまざまな反応を示すだろう。しかしこれまで、オリジナル作品で勝負している彼の監督としての姿勢は頼もしい。監督は作業に時間をとられ、俳優の仕事をセーブする必要があるのでしんどいとオダギリ監督はいう。だがこれまで国内外で作品の評価を積み上げて下地を作って来た彼だけに、今後の活躍にも期待したいところだ。
(金澤誠/映画ライター)
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