「時代に挑んだ男」加納典明(40)「篠山紀信さんとは、手塚治虫と梶原一騎の関係に似ている」
加納「誰が?」
増田「篠山紀信さんが手塚先生で典明さんが梶原先生みたいに見えます。手塚先生ももちろん天才ですが、梶原先生が『巨人の星』とか『タイガーマスク』とかで売れているとき、理由がさっぱりわからなかったそうです。だから『巨人の星』を読みながら編集者たちに『この作品のどこが面白いのか誰か教えてくれ!』って怒鳴りちらしたという」
加納「そうなんだ」
増田「梶原先生が描く大リーグボール養成ギプスとか、手塚先生には意味がわからなかったと思いますよ。それを梶原先生は素で描けた」
加納「へえ。それはわかる気がする」
(第41回につづく=火・木曜掲載)
▽かのう・てんめい:1942年、愛知県生まれ。19歳で上京し、広告写真家・杵島隆氏に師事する。その後、フリーの写真家として広告を中心に活躍。69年に開催した個展「FUCK」で一躍脚光を浴びる。グラビア撮影では過激ヌードの巨匠として名を馳せる一方、タレント活動やムツゴロウ王国への移住など写真家の枠を超えたパフォーマンスでも話題に。日宣美賞、APA賞、朝日広告賞、毎日広告賞など受賞多数。