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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

見えそうで見えない、柴田理恵の権威とは無縁の自由な笑い

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 とはいえ、喰は決して「下ネタ」が好きなわけではなかった。だが、「ギャグになってれば、ジャンルは何であれ」面白いと気付き、「下だからっていうだけで、低いって見なすものの考え方は大間違い」と、下ネタに光を当てようと考えたのだ(YouTube「みんなのテレビの記憶」24年7月5日)。

 だから、本来は股間を手で隠しながら客席を走り回る演目なのに、つい隠すのを忘れた俳優には「ふざけんじゃねえ!」と烈火のごとく怒った。喰との対談で「見せてしまった瞬間にただの下品に成り下がる。意味がぜんぜん違ってしまうんです。笑いとおふざけは紙一重」(CINRA「CINRA」17年4月17日)と久本も言う。

 冒頭の“事件”の際、喰は再び「自主規制」の問題を感じたという。それに対しては「徹底的に戦う」と宣言している。なぜなら、人は国籍や宗教が違っても、笑い合うことによって同じような人間だと分かり、「笑いは武器になる」と信じているからだ(同前)。柴田は「ワハハみたいな無法地帯のようなところは無い」(ローソンエンタテインメント「ローチケ演劇宣言!」21年5月10日)と言う。

「権威的ではなく、鯱張るわけでもなく、本当に……底辺な、って言っちゃうけど(笑)、そういうのって本当に他にないから」(同前)

 そう、そこには権威とは無縁の自由な笑いがあるのだ。

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