ポールの一曲一曲に足りないジョンの曲作りの不思議感覚
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『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』(1968年11月22日発売)④
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■『アイ・ウィル』
今回はCDでいうディスク1の最後の2曲。ということはLPだと1枚目B面のラスト2曲を。
まずはポールによるラブソング。「will」(ウィル)には未来と意志の意味があると学んだ記憶があるが、まさにそれ。「君を愛し続ける」という未来への意志を歌っている。
さて『ホワイト・アルバム』にはこの曲のように「ビートルズ感が薄いな」「ソロアルバムの曲やな」と思わせる曲が多い。
この曲も、ポールがほぼ一人で録音しており(リンゴとジョンがちょっとだけパーカッションで参加)、ビートルズというよりはポールの初めてのソロアルバム『マッカートニー』(70年)に入っていてもおかしくない曲である。
このあたりが、他のアルバムにはない『ホワイト・アルバム』特有の「読後感」。つまり「あぁ4人それぞれの本領が出ているなぁ」と「4人の相互作用がなくて物足りないなぁ」という印象が交錯するのだ。
↓………ここから続き………
特にポールは、このアルバムで曲を作りまくっている結果、一曲一曲の煮詰め方が弱いという気がする。
例えば、この『アイ・ウィル』も、次の曲と比べたら、何かが足りないのだ。その何かとは──。
■『ジュリア』
こちらもラブソング。ジョンの曲で「ジュリア」は彼の母親の名前だが、歌詞の内容は、すでに交際していたオノ・ヨーコへの愛の歌だ(ご丁寧にも「オーシャン・チャイルド=洋・子」という言葉が歌詞に入っている)。
さて『ジュリア』にあって『アイ・ウィル』にない「何か」とは「不思議感覚=センス・オブ・ワンダー」ではないかと、私は考えるのだ。
それこそ「感覚」的な物言いで申し訳ないが、『ジュリア』からは「これまでの音楽にはなかった不思議な感覚を表現したい」というジョンの鼻息が伝わってくるようではないか。
試聴リンク再生時間「1:01」からのパートが醸し出す、不思議の森に迷い込むような感じたるや、これぞまさにセンス・オブ・ワンダーだ。
ジョンが不思議音楽を突き詰めていく。ポールが実質的リーダーとしてのバランス感覚も働かせながら、ジョンによる不思議の周辺に、不思議度は低いが完成度の高い作品を敷き詰めていく。この構図こそが後期ビートルズの本質的なありようだと思う。
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