【URCHIN/アーチン】彼はなぜ悪の世界から抜け出せないのか?
仕事が手につかなくなったマイクは調理場でのストレスに感情を爆発させ、クビに。その後、清掃の仕事でペアを組んだアンドレアと惹かれ合い、彼女のキャンピングカーに入り浸るようになる。
だが運命の転換は唐突にやってきた。知人からドラッグを差し出されたマイクは薬物の一線を超えてしまうのだ……。
犯罪者が出所後の更正に苦しむ映画はアラン・ドロンの「暗黒街のふたり」(1973年)や役所広司の「すばらしき世界」(2021年)など数多い。前科者に対する差別と警戒感が主人公の運命を翻弄した。
これに比べて本作のマイクを取り囲む環境はそれほど過酷ではない。調理場の責任者は厳しいが、彼を色眼鏡で見ているわけではない。マイクの環境には特筆するような「外敵」は見受けられないのだ。
にもかかわらずマイクは転落。優しいアンドレアに憎まれ口を叩き、薬物の幻覚に逃げ込む。
彼がどのような経緯でホームレスになったかは描かれていないが、スクリーンで見るかぎり、生まれつき社会のルールに馴染むのが不得手なのだろう。冒頭に述べた泥棒の類型を当てはめれば、マイクは後者。生きることに不器用なあまり、運命的に自分で自分を悪に駆り立てるタイプだ。


















