(1)忍び寄る“暗黒時代”の足音…リーグ連覇の陰で深刻化した「主砲依存」と極度の育成不全
甲子園に鳴り響いていた「あと1球」の大合唱が悲鳴に変わった。
17日のDeNAとのCSファイナルステージ第4戦。阪神は1点リードの九回2死、守護神の工藤泰成(24)が三森を2ストライクに追い込みながら逆転打を許し、5-8で敗戦。痛恨の4連敗で日本シリーズ進出を逃した。球団史上初のリーグ連覇を果たした王者の、あまりにもあっけない終戦から一夜明けた18日、スポーツ紙には三冠王・佐藤輝明(27)のポスティングシステムによるメジャー移籍を、球団が今オフにも容認する可能性があるとの記事が躍った。
米大リーグは日本時間12月2日午後1時59分に労使協定が失効する。交渉が決裂すればロックアウトに突入する恐れもあり、佐藤の去就は早期決着が図られる可能性があるという。
さらに、今季自己最多の35本塁打を放った森下翔太(26)も、メジャー挑戦に向けて代理人契約を結んでいることが判明。昨オフにポスティング移籍の希望を伝えた佐藤に続き、森下も仮に来オフの挑戦を強く求め、これを球団が容認すれば、阪神は2年続けて主砲を失うことになる。
18日は藤川球児監督(46)がオーナー報告を行い、3連覇を目指す来季に向けて「優勝するためには全選手の力が必要」と力を込めたが、粟井球団社長は「選手層に厚さが足りないと実感した」と話した。積極補強に乗り出す方針だが、阪神の周辺では「戦力的には去年、今年がピーク。佐藤が抜ける来年以降はよほど戦力を強化しない限り、どんどん落ちていく」との不安の声が少なくない。
実際、CSファイナルでは「飛車角」が抜けた阪神打線の惨状を浮き彫りにした。第1戦から3試合連続の完封負け。佐藤が故障でベンチを外れた第2戦は散発2安打。森下も負傷し、両大砲がスタメンから消えた第3戦も無得点に終わった。第4戦で2人が復帰すると一転、森下の2打席連続本塁打などで5得点。主砲頼みの打線であるのは明らかだ。
18日付のデイリースポーツでは評論家の中田良弘氏が「阪神の選手層の薄さを感じたシーズンだった」と指摘。第4戦の五回1死一、二塁で伏見寅威(36)を迎えた場面で「どうにも(代打の)名前が浮かんでこない」と嘆いた。その試合の九回2死、最後に代打に送られたのは木浪聖也(32)。今季、打撃で苦しんだ選手に望みを託さざるを得ないほど台所事情は苦しい。
今季、一軍で128試合に出場した高寺望夢(24)にしても、打率.219、3本塁打。昨年のドラフト1位で入団した立石正広(22)は38試合で打率.192、2本塁打、125打数41三振。大学球界屈指の強打者と評されたものの、プロの壁は分厚い。将来的な大成を期待する声がある一方、現状ではとてもじゃないが三冠王の穴埋めをイメージできない。


















