著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。2019年、「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)が、山田孝之主演でNetflixで映像化配信され大きな話題に。最新刊に、「東京降りたことのない駅」(大洋図書)、「全裸編集部」(双葉社)などがある

堀江しのぶが珍しく弱音を…「お腹が痛くて食欲がないの」

公開日: 更新日:

 毎回、「おい! ねえちゃん」と居酒屋の店員を呼ぶようなやすしに対し、しのぶも「いい加減にわたしの名前覚えてくださいよ!」と切り返す。荒くれイメージが強いやすしに切り返しができるのも、堀江しのぶしかいなかった。大物芸能人というのは、ずけずけ言い返してくるこんな若者が可愛くてしかたがないものだ。堀江しのぶは芸能界のジジイキラーでもあった。

 売れに売れる堀江しのぶ。

 自分で発掘し育てるのが夢だった野田義治は、自身が長年抱いていた夢がかなったと思い、おのれの強運に感謝した。

 この勢いでさらに強力な新人をスカウトして売り出す計画も着々と進んでいた。有望な事務所スタッフも増員した。世界中のサクセスが今、自分の手元に集まりだした、と実感した。

 だが強運はときに百八十度ひっくり返るときがある。凶運が野田義治の足元にひそかに忍び寄っていた。

 1988年。

 日本列島をバブルが覆っていた。

 株や絵画、ゴルフ会員権、不動産、金、あらゆるものが投機の対象になった。雑誌、テレビでも水着撮影だけの仕事でハワイ、バリ、プーケットといった人気観光地にロケを組んだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲