著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。2019年、「全裸監督」(太田出版/新潮文庫)が、山田孝之主演でNetflixで映像化配信され大きな話題に。最新刊に「花街アンダーグラウンド」(駒草出版)などがある。

抜擢したカメラマンたちは村西とおるの“サンドバッグ軍団”

公開日: 更新日:

 野田義治が経営していたイエローキャブ唯一の所属タレント、堀江しのぶがスキルス性胃がんで余命2カ月と宣告された。毎月300万円という高額の医療費や生活費が野田のもとにのしかかってくる。野田は営業で飛び込んだ村西とおるのもとで、パワースポーツというレーベルから発売される芸能人イメージビデオのプロデューサーとして村西とおるから医療費や生活費に見合う額を得るようになった。

 だが村西からの要望も過酷なものだった。

 吉永小百合松田聖子宮沢りえクラスを口説き落としてこい、というのだ。しかもAVのようなからみはないものの、それに匹敵するだけのセクシーな映像を要求してきたのである。

 テレビ局のカメラマンに仕事を発注したものの、彼らは技術はあってもプライドが高く、村西が望むセクシーな映像を撮ることが苦手だった。

 野田義治プロデューサーはカメラマン候補として意外な人物の名を口にした。

「日比野正明にやってもらいましょうよ」

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