著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。2019年、「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)が、山田孝之主演でNetflixで映像化配信され大きな話題に。最新刊に、「東京降りたことのない駅」(大洋図書)、「全裸編集部」(双葉社)などがある

村西とおるも野田義治も価値紊乱者ゆえの孤独を抱えていた

公開日: 更新日:

 村西とおるの監督としての力量も未知数で、クリスタル映像初期の売り上げは散々だった。

 ところが、村西本人が出演するようになり、「ナイスですね」「ファンタスティック」「ゴージャス」といった死語のような英単語を乱発するコミカルな話芸が一部でウケ、86年発売「SMぽいの好き」で人気を決定的なものにした。

 時代は黄金の80年代、経済的余裕は精神面にまでおよび、正攻法で観賞するよりも斜に構えた見方が面白がられる時代だった。田舎道の軒先でよく見かけたキンチョールのホウロウ看板が、キッチュでしゃれたものだと再評価されたのもこのころだった。

 村西とおる自ら出演し、共演女優の股間をなめて「ナイスだねえ」とささやくさまを、視聴者は面白がった。これも80年代に派生した斜に構えた見方の一例だった。

 村西作品群は売れに売れ、クリスタル映像は膨大な利益を得るようになる。

 だが両雄並び立たず。

 アクセル全開路線の村西とおる監督と、ブレーキをしばしば踏む西村忠治社長では、路線の違いで袂を分かつのは時間の問題だった。決別はバブル期、88年夏だった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ前監督・吉井理人氏が佐々木朗希を語る「“返事もしなかった頃”から間違いなく成長しています」

  2. 2

    矢沢永吉ライブは『永ちゃんコール』禁止で対策も…B'z『客の大熱唱』とも通じる“深刻な悩み”

  3. 3

    ロッテ前監督・吉井理人氏が大谷翔平を語る「アレを直せば、もっと良く、170kmくらい投げられる」

  4. 4

    阿部監督のせい?巨人「マエケン取り失敗」の深層 その独善的な振舞いは筒抜けだった

  5. 5

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  1. 6

    オコエ瑠偉 行方不明報道→退団の真相「巨人内に応援する人間はいない」の辛辣

  2. 7

    ロッテ前監督・吉井理人氏が2023年WBCを語る「大谷とダルのリリーフ登板は準決勝後に決まった」

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    ドラマー神保彰さん ミュージシャンになるきっかけは渋谷109オープンだった

  5. 10

    ロッテ吉井理人監督の意外な「激情時代」 コーチの延々続く説教中に箸をバーン!殴りかからん勢いで…