失敗できない農家が頼る農薬 使えば使うほど農協が儲かる
それにしても、なぜ日本は農薬を大量に使うのだろうか。農業の関係者にうかがうと、こんな理由が返ってきた。
まず1点目は、日本は高温多湿で害虫が多いから農薬をまく量が多くなるのは仕方がないというものだ。もっともな理由である。
2点目はハウス栽培だから。単位面積当たりの農薬使用量が多いのは日本、韓国、イタリア、オランダなどで、これらはハウス栽培が多い国だ。ビニールハウスなんて安いもんだろうと思われるが、あれだって家1軒分ぐらいの値段がする。つまりそれだけ投資しているから失敗は許されない。だから安心のために農薬をまく、というのである。
3点目は作付けする作物の違い。欧米のように小麦や大豆と違って、日本は圧倒的にコメが多いから農薬が大量に使われ、結果的に全体として使用量が多くなるというものだ。
いずれの理由も根拠があるし、それを否定するつもりはない。だが、日本が農薬を大量に必要とする理由がほかにもある。
ある農家によれば、ホウレン草や小松菜のような葉野菜は栽培期間が短いからネットをかぶせても害虫は防げるが、キュウリやトマトのように栽培期間が長くなると、どうしても農薬を使うようになるという。ただ、それがすべてとは言えないそうだ。