「文通費」見直し議論を各政党は11年間放置 積もり積もった血税ムダ支給は42億円【独自調査】

公開日: 更新日:

 10月31日の衆院選で当選し、たった1日の任期でも国会議員に月100万円が満額支給される「文書通信交通滞在費」問題。世論の反発を受け、ワイドショーまで騒ぎ出し、慌てて自公与党も「新人議員は全額返還させる」と言い出しているが、何を今さらだ。10年以上前にも文通費のあり方を方針転換する機会があったのに、各党は放置。おかげで巨額の血税がムダに支給される事態に至ったのだ。

【写真】この記事の関連写真を見る(35枚)

 ◇  ◇  ◇

 議員1人当たり年間1200万円の文通費は、以前から国会議員の「第2の給与」と言われてきた。一応、歳費法で「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」と規定されているが、領収書不要の経費で、しかも非課税と使いたい放題。その上、月の在職日数に準じた「日割り支給」の仕組みもない。国会議員の特権中の特権だ。

 実は「日割り支給」に変えるチャンスは11年も前に訪れていた。

 当時、問題視されたのは、議員の給与に当たる「歳費」だ。文通費同様、月に数日程度しか在職しなくても、ずっと満額支給されていた。2009年8月30日投開票の衆院選で当選した議員は、8月の在職期間がたった2日なのに、当時の月額歳費130万1000円が全額支給。翌10年7月の参院選でも、当選議員は在職6日ながら、やはり7月分の歳費が満額支給されていた。

 この濡れ手でアワが国民から猛批判を浴びた結果、10年8月、改正歳費法が成立。「歳費日割り制」が導入された。ところが、当時もメディアから文通費のあり方を問う声があったのに、全くの手つかずだったのだ。

 この時に文通費も日割り支給にしておけば、今回のような問題は起きやしなかった。特に自公与党が11年間も放置したせいで巨額の税金が議員の懐に消えたのだ。その額はいくらになるのか。

衆参延べ700人超への支給総額は960億円

 日刊ゲンダイが10年以降、衆院議員が失職する「解散日」と任期が始まる「投開票日」、さらに参院議員の「任期開始日」を確認すると、在職日数が1カ月未満でも、文通費が満額支給されていたケースが目立つ(別表)。

 例えば13年の参院選は在職日数がたった3日の121議員に、19年の参院選も同じく在職3日の124議員に満額支給。17年衆院選でも任期開始から10日の465議員に100万円が満額支給された。

 この11年間で在職日数が1カ月足らずの議員に満額支給された文通費は累計総額42億円にも上る。

 そもそも、電子メールが普及した現代において、書類の発送、通信に月100万円とはあり得ない話。文通費そのものが「税金のムダ」との指摘もある。この11年間、衆参合わせ延べ700人超の議員に支給された文通費は総額約960億円にも上るのだ。政治資金や文通費に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。

「一番の問題は、文通費を政党支部や資金管理団体に繰り入れる『目的外支出』です。それを防ぐためには、使途の公開と未使用分の国庫返納。使った分を請求する『実費精算』制度が議論されてしかるべき。税金が原資なのですから、厳格に運用すべきです」

 公明党の山口代表は、16日午前は「どう対応していくべきか検討したい」と消極的だったが、夕方になって「全額返還」に軌道修正。山口代表も13年と19年の参院選後、2度も「任期3日」で満額支給を受けていたのに、悠長なものだ。どいつもこいつも本当は月100万円を手放すのが惜しくて仕方ないのだろう。

*この記事の関連【動画】もご覧いただけます。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のライフ記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    蒼井そら発掘 数万人をAV女優にして逮捕された大手プロ社長の「目利きと商魂」

    蒼井そら発掘 数万人をAV女優にして逮捕された大手プロ社長の「目利きと商魂」

  2. 2
    ギネスを目指すロシアの“超大型ネコ” 成長中メインクーンの体重は12.5キロ!

    ギネスを目指すロシアの“超大型ネコ” 成長中メインクーンの体重は12.5キロ!

  3. 3
    皇室も宮内庁も情報発信を一から考え直さないと誤解と悲劇は続く

    皇室も宮内庁も情報発信を一から考え直さないと誤解と悲劇は続く

  4. 4
    三田寛子「卒婚宣言」の現実味…夫・中村芝翫3度目不倫報道、もう神対応はみられない?

    三田寛子「卒婚宣言」の現実味…夫・中村芝翫3度目不倫報道、もう神対応はみられない?

  5. 5
    フリー俳優になる東出昌大の暗い前途…成功した「フワちゃん」との決定的な違い

    フリー俳優になる東出昌大の暗い前途…成功した「フワちゃん」との決定的な違い

もっと見る

  1. 6
    大泉洋に大仕事が次々と!NHK大河「鎌倉殿の13人」でも際立つ陰と陽

    大泉洋に大仕事が次々と!NHK大河「鎌倉殿の13人」でも際立つ陰と陽

  2. 7
    高視聴率ドラマ「DCU」に賛否 日曜劇場のマンネリ設定と“過剰サービス”で「食傷気味」の声も

    高視聴率ドラマ「DCU」に賛否 日曜劇場のマンネリ設定と“過剰サービス”で「食傷気味」の声も

  3. 8
    野良犬とロシア10歳少女の奇跡! 零下11度の猛吹雪で行方不明になったが…

    野良犬とロシア10歳少女の奇跡! 零下11度の猛吹雪で行方不明になったが…

  4. 9
    米国に37歳差カップル誕生 年上彼女は「彼の子供を産みたい!」

    米国に37歳差カップル誕生 年上彼女は「彼の子供を産みたい!」

  5. 10
    <9>“近居”が最近のブームだが…老夫婦が息子の近所に住む選択はベストか

    <9>“近居”が最近のブームだが…老夫婦が息子の近所に住む選択はベストか