セレブ層に人気の青学vs学習院 我が子をお受験させるならどっち?
「幼稚園や初等部(小学校)から青学に入るのは、例外なく家が裕福な子」と話すのは幼稚園(3年保育)から大学まで19年間、青山学院(東京・渋谷区)で過ごした40代のOG。幼稚園は都内でもっとも高く、初年度の納付金は160万5000円。初等部は137万6000円となっている。
「長女を幼稚園に入れようと思って、大学までいくらかかるのか計算してみたんです」
19年間の学費(入学金、授業料、施設設備料など)の合計は約2150万円(大学で理工学部を選んだ場合は+約200万円)。だが、現実にはこの額だけでは収まらない。
「イベントがひっきりなしにあるんです。私の場合は初等部と高校の時に海外でのホームステイに参加。1回で数十万円はかかった。さらにママ友との付き合いもあり、最低でも3000万円はかかる。生家は老舗の和菓子店で何とかなりましたが、平凡なサラリーマン家庭のうちでは無理と諦めました」
実際、セレブ家庭の子女が多い。中でも目を引くのが歌舞伎人脈だ。市川海老蔵は幼稚園から高校の途中まで青学。長女・4代目市川ぼたんと長男・8代目市川新之助(襲名予定)も現在、初等部に在学中だ。
学習院のブランド力は下降気味
青学と同様、セレブが多く集まっているのが学習院幼稚園(東京・豊島区、2年保育)と同初等科(新宿区)。もともと学習院は江戸時代末期に公家の子弟の教育を目的に設立され、以降、たくさんの皇族が学んできた。
「幼稚園や初等科の人気は青学と双璧。合格のハードルも非常に高い」と話すのは幼児教室の運営者だ。学習院初等科は青山学院初等部とともに「私立小ご三家」に数えられる超難関。残るもう一校は慶応幼稚舎だ。なお、慶応には幼稚園はない。
■トータルの費用の差は1000万円
青学ほどではないが、学習院の学費も高い。幼稚園の初年度納付金は都内で3番目の134万5000円(21年度)。初等科は133万6000円で、青学とそれほど変わらない。幼稚園から大学まで18年間、学習院に在学すると、2000万円超(理学部の場合+150万~200万円)の額がかかる。
「とはいえ、お母さんがたの交流はそれほど多くないので、追加で必要になる額はずっと抑えられると思います」(幼児教室運営者)
青学と同列に扱われるのを愉快に思わないOB・OGも少なくない。初等科から16年間、学習院に在学したOBは「わが校訓は質実剛健。浮ついた雰囲気の学校とは訳が違う」と話す。ただ、最近の学習院のブランド力は下降気味だ。
「愛子さまの不登校問題での学校側の対応のまずさに加え、秋篠宮家の学習院離れの姿勢があらわになると、人気に陰りが見えだした。その分、青学よりやさしくなっているので、狙い目」(幼児教室運営者)
174年の歴史を持つ学習院。対する青山学院も開校から147年が経つ。いずれも、しっかりした教育システムを構築しているので、多少の浮き沈みはあっても、今後も難関校の位置を守っていくに違いない。
(取材・文=田中幾太郎/ジャーナリスト)
※田中幾太郎氏の著書「名門校の真実」(講談社、税込み1540円)が11月30日に発売されます。慶応義塾幼稚舎、青山学院初等部、学習院初等科などの有名私立小学校や幼稚園の最新情報が詳しく解説されています。