新子安「諸星」は働く大人の憩いの場 横浜に2軒だけ残る「市民酒場」でアイラモルトを

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「淡々と店を開けるのが私の務め」

 まずは地元のキリン工場に敬意を表しキリンラガーの大びん(750円)と煮込み(520円)から。ビーフシチューのようなコクのあるこの煮込みには塩パン(200円)がドンピシャ。一緒にほおばれば病みつきになること請け合い。

 ここでキンミヤ焼酎の割梅(360円)に。焼酎のロックに梅シロップが別についてくるから自分で味を調節できる。いいね。次に地元でとれるシャコ(600円)をつまむ。エビやカニとは違う歯ごたえと程よい塩味に酒が進むこと進むこと。ふと酒棚を見ると日本酒ばかりではない。短冊にかくれてシングルモルトやダークラムまでそろっている。それを眺めていたアタシを見て諸星さんが「お好きなら」とアイラモルトをテイスティンググラスで出してくれた。

 まさかここでアイラモルトが飲めるとは思わなかった。ニヤリとする3代目。満席の客をクールにさばきながらこんなところにも気を配る。さすが。もちろん笑顔でダイナミックに接客するベテランおねえさんの力も大きい。

 会社員を辞め、この店を継いだ諸星さんは酒場の主とは思えない端正なたたずまいだ。が、順風満帆だったわけではない。コロナ禍では想像もつかない苦難を経験したそうだ。「店は開けていなければ客が離れる」という先代の教えを守るために苦悩する日々が続いた。平常営業になり「戻ってきたお客さんのうれしそうな顔を見て、淡々と店を開けるのが私の務め」と語る。

 気分が良くなったアタシは川崎で仕上げるか横浜に足を延ばすか苦悩するのでありました。(藤井優)

○市民酒蔵諸星 横浜市神奈川区子安通3-289

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