「業績連動型」は時代に合わない? ボーナスなくす大手企業の狙い…ソニーグループは4月から新報酬制度スタート
夏季賞与の支給日が間近になってきた。今年の春闘は過去最高水準を達成し、企業の満額回答も続いて支給額に期待するサラリーマンは多いだろう。こうした中、大手企業から賞与を廃止する動きが出始めている。
ソニーグループはこの4月から、グループ本体と関連会社約1万5000人の正社員を対象に賃金制度を見直す新たな報酬制度をスタートさせた。大卒初任給を10%増やし31万3000円に引き上げたが、象徴的なのが冬の賞与を廃止して月給と夏の賞与に振り分ける「賞与の給与化」だ。
賞与は短期の業績により支給額が左右され、業績が良ければ支給額は増え、悪化すれば支給額は下がる。業績連動が家計に不安定なことは確かだが、生活費の中で大きなウエートを占める賞与をなくす企業の狙いはどこにあるのか。労働政策研究・研修機構の荒川創太主任研究員がこう指摘する。
■優秀な人材の確保と定着
「業績連動性の賞与は企業の調整弁として使い勝手がよかった。しかし一律で年功色が残り、人手不足でとくに優秀な人材の奪い合いが激しいAI関連企業には合わない。そこで企業は優秀な人材を確保、定着させるための手段として賞与を廃止し、その分を給与に振り分ける賃金制度の見直しに着手しているんです」