「社会は『私』をどうかたちづくるのか」牧野智和著

公開日: 更新日:

「社会は『私』をどうかたちづくるのか」牧野智和著

「『私』はなぜ他でもなく、今のような『私』であるのか」と考えると、これまでのさまざまな経験が、今の「私」をつくっていることに思い当たる。

「自分を変えられない」と悩む現代人は多いが、社会学では、自分は自分だけで変わることができるとはあまり考えず、他者との関係性や社会の影響を常に受け、自分を変えるために利用可能な資源も社会的状況によって異なると考えるという。

 自分で自分を変える(変えられる)という考え方は自己完結的で、2000年代以降に強まる自己責任論にも通底する。「私」の社会的な成り立ちについて考えることは、この自己完結的考え方を解きほぐすことにもつながる。

 本書は、この「私」の社会的成り立ちについて社会学の視点から解き明かしていくテキスト。

(筑摩書房 1034円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」