ブチ切れた球審がまさかの“逆襲”、長嶋茂雄監督のあんなに慌てふためいた顔は見たことがない
元セ・リーグ審判部長の田中俊幸氏による「抗議でわかるプロ野球監督の正体」(第4回=2004年)を再公開
“燃える男”、“ミスター”の愛称で国民的人気を誇ったプロ野球元巨人監督の長嶋茂雄さんが6月3日、都内の病院で肺炎のために亡くなった。享年89。選手、監督として数々の伝説、逸話を残した「ミスタープロ野球」は、身近に接した者すべてにそれぞれの「長嶋茂雄像」を強く印象づけてもいる。日刊ゲンダイの連載で多くの球界OBが語ってきたその実像を再構成して緊急公開します。
今回は元セ・リーグ審判部長の田中俊幸氏による「抗議でわかるプロ野球監督の正体」(第4回=2004年)を再公開。本文中の年齢・肩書きなどは当時のまま。
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監督がベンチから飛び出してくるには理由がある。ジャッジに対する不満であったり、ルールの確認であったり、いずれにしろ、際どいプレーや微妙な判定がつきものだ。そして審判に抗議をしたり、説明を求める。
ただ1人の例外が長嶋監督だ。ある試合で長嶋監督が突然、球審の私のところへやってきた。何かもめるようなプレーもなければ、際どい判定がなされたわけでもない。選手交代の場面でもない。一体なんだ、と身構えたが、長嶋監督のセリフを聞いて思わず拍子抜けとなった。