日焼け止め、重ねたら「効果もアップ」するの? 下地を塗る順番も聞いてみた/医師監修
重ね塗りで紫外線防御力はアップする?
【美容のウソ・ホント】
SNSやYouTubeにさまざまな情報が溢れている昨今。美容について発信するアカウントも多く存在し、なかには同じテーマでも相反する意見を主張する人たちも。いったいどっちを信じればいいの?
そこで2人の医師に同じテーマを直撃。エビデンスや知見をもとに答えていただきました。テクニックとしても知られる【日焼け止めの重ね塗りの効果】についてです。
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2人の皮膚科医からの回答は…
「日焼け止めを兼ねた下地だけでは効果が薄い」「SPF値の高いアイテムを重ねれば効果がアップする」など、日焼け止めの重ね塗りについてさまざまな情報が飛び交っています。果たして重ね塗りは本当に効果があるのでしょうか?
そこで肌の専門家である医師に、日焼け止めの重ね塗りの効果についてうかがいました。
【回答:△】規定量を塗らないと効果は期待できない
もこスキンクリニック吉祥寺本院(東京都)
医療法人社団健麗会 理事長
高畠唯先生
【Q】日焼け止めを兼ねた下地を薄く塗るだけでは、あまり効果がないというのは本当?
【A】本当です。日焼け止めのSPFは規定量を塗った場合のこと。少ない量だと塗りムラができてしまうので、しっかり量を塗る必要がありますが、その量を塗ると厚塗りになってしまうので、していない方が多数でしょう。
【Q】SPF値の高いものを少しずつ重ね塗りする効果ありますか?
【A】どれも規定量というのがあるので、その規定量を塗り重ねるのであれば効果はあると思いますが、少ない量ではいずれにしろ効果は見込めないと思います。
【Q】日焼け止めパウダーやスプレーは気休めでしょうか?
【A】スプレーの場合は、かなりムラができてしまうので、気休めでしょう。パウダーの場合は、まんべんなく塗れるのであれば良いと思います。
【回答:△】SPF値は単純に足し算されない
山内皮ふ科スキンケアクリニック(福岡県)
院長
山内大輔先生
【Q】日焼け止めを兼ねた下地を薄く塗るだけでは、あまり効果がないというのは本当?
【A】多くの人が日焼け止めを「薄く」「少量」しか塗っていない傾向にあります。
しかし量が少なすぎると、肌に均一な膜を形成できず、ムラが生じやすくなります。結果として表示されているSPF/PA値よりもはるかに低い防御力しか得られず、部分的に日焼けしてしまうリスクが高まります。
顔全体に十分な効果を得るためには、約0.8gの日焼け止めが必要です。具体的な目安としては、クリームタイプならパール2粒分、ローションや液体タイプなら1円玉2枚分が推奨されています。
【Q】SPF値の高いものを少しずつ重ね塗りする効果ありますか?
【A】「SPF20の化粧下地にSPF25のファンデーションを重ねたらSPF45になる」というのは誤解です。
日焼け止めのSPFやPA値は、それぞれの製品が単独で規定量を塗布した場合に測定される値であり、単純に足し算されるわけではありません。
しかし、日焼け止め効果のある下地やファンデーションを重ねて塗ること自体は問題ありません。むしろ日焼け止めの塗りムラを補ったり、時間経過による落ちをカバーしたりする補助的な効果が期待できるでしょう。
特に化粧下地は、日焼け止めの膜を阻害しないよう、日焼け止めを塗った後に使用するのが正しい順番です。
化粧下地やファンデーションに含まれるUVカット効果は、あくまで「補助的な役割」と捉えるのが適切です。これらを日焼け止めの代わりとして薄く塗るだけでは、十分な紫外線防御効果は得られません。
【Q】日焼け止めパウダーやスプレーは気休めでしょうか?
【A】パウダーやスプレータイプは決して「気休め」ではありません。これらは、日中の紫外線防御効果を維持するための有効なツールとして活用できます。特に、メイクの上から手軽に塗り直しができ、化粧崩れを防ぐ効果も期待できます。
しかしスプレータイプは塗りムラができやすいという特性があり、パウダータイプもクリームやミルクに比べて、規定量を均一に塗布するのが難しい場合があります。
そのため、これらはメインの日焼け止めとしてではなく、あくまで日中の「塗り直し」や「補助的な防御」として活用するのが賢明です。
日焼け止めは「「規定量を守ることが大前提」
日焼け止めの重ね塗りについて、両医師とも「規定量を守ることが大前提」という見解で一致していました。SPF値が単純に足し算されるわけではないものの、補助的な効果は期待できるとのこと。特に塗りムラを補ったり、時間経過による効果の減少をカバーしたりする役割には期待できそう。
日焼け止めパウダーやスプレーについては見解が分かれましたが、いずれにせよメインの日焼け止めの代わりではなく、塗り直し用のアイテムとして活用するのがよさそうです。
(コクハク編集部)