(1)孤独死増加で国庫行きの財産は1015億円…「老後が心配なので貯めなきゃ」と嘆く80歳
孤独死が増えて相続人が不在で、財産が国庫に帰属するケースが増えています。2023年度に国庫に入った財産は1015億円に上り、10年前の2013年の約336億円から3倍に増加しました。今後、団塊の世代が75歳を超えていくことから、この傾向はさらに強まると予想されます。そもそも、「自分の財産を国庫に入れたい」と考える人は少ないでしょう。しかし、相続人がいない「おひとり様」の場合、遺言などの対策を講じなければ、財産は国庫に帰属してしまうのです。この連載では、自分の財産から必要最低限を残しながら、計画的に取り崩していく方法をファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏が紹介していきます。
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自分で築いた財産なら、自分のために使い切るのが理想ではないでしょうか。「三途の川も金次第」とは言いますが、現実にはお金をあの世に持っていくことはできません。死んでしまえば、お金を使うこともできなくなるのです。
皆さんは、どのように老後資金を貯めてきたのでしょうか?多くの方にとって、それは長年の労働の対価であり、何万時間もの努力の結晶だと思います。にもかかわらず、使わずに死んでしまうのは「ただ働き」とも言えるのではないでしょうか(もちろん、お金があるという安心感は得られますが)。お子さんがいらっしゃる場合には、「遺産を残したい」という気持ちも理解できます。ただし、遺産が原因で相続争いに発展するケースも少なくありません。