“鉄人”田中希実「観客をあっと言わせたい」…日本選手権1500m史上初の6連覇にも不満顔のワケ
それでも、「女王」に笑顔はなかった。
9月の世界選手権東京大会の選考会を兼ねる日本選手権が6日、最終日を迎えて女子1500メートルの田中希実(25)が4分4秒16のタイムで史上初の6連覇を達成。だが、レース後の本人からは不満が口をついた。
「胸を張れる記録ではない。シーズンベストではありましたけど、日本記録を狙わないと。6連覇したくらいでは、観客のみなさんも“おぉー”と驚かなかった。“あっ”と言わせるような走りをしたい」
酷暑の中、田中はこの日が3日連続のレース。4日の5000メートルでは大会記録の14分59秒04で4連覇を果たし、前日5日の1500メートル予選では全体1位のタイムで決勝進出を決めた。まさに〝鉄人〟で、その無尽蔵のスタミナに周囲は驚き、感心するが、世界を見据える本人は順位よりタイムにこだわる。
今月に入って、女子1500メートル、5000メートルともに世界記録が更新されたばかり。1500メートルはケニアのキピエゴンが3分48秒68で新記録を打ち立て、5000メートルは同じくケニアのチェベトが13分58秒06をマークし、女子として初の13分台に突入した。日本記録はいずれも田中が持つが、1500メートルは3分59秒19、5000メートルは14分29秒18と世界との差はさらに広がったのだ。
先の2種目で代表内定を手にした9月の世界陸上で「“あっ”と言わせる走り」ができるか。