岐阜市立中央図書館(岐阜県)格子天井やグローブが日本家屋のような雰囲気
2022年に「Library of the Year大賞」を受賞した複合文化施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」。多くの市民が訪れるこの施設の2階フロアにあるのが、岐阜市立中央図書館だ。館内に入り、エスカレーターで2階へ上がると、この図書館最大の特徴でもある大きなグローブ(傘)が目に飛び込んでくる。
「グローブで最も大きいものは直径約14メートル。天井から吊られたグローブは全部で11あり、それぞれのグローブで文学、ヤングアダルトというふうにエリア分けをしています。グローブの下が閲覧席(一部除く)になっており、たとえば児童コーナーはじゅうたん敷きのくつろげるスペース、ほかではイスとテーブル、あるいは人工籐のソファなど、さまざまなスタイルの席を用意しています。閲覧席に対し、放射状に背の低い本棚を配置しているので、館内全体の見通しがいいのもこの図書館の特徴の1つ。ご覧のようにフロアには壁がないので、グローブがエリア分けの役割にもなっているんです」と事業係の松野良紀さん。
天井に目をやれば、県産材の東濃ひのきを使った木造格子が何層にも重なり、山並みのような曲線を描いている。また天井からはグローブを通して柔らかな自然光が降り注ぎ、トップライトが開閉するおかげで空気の循環もいい。ひのきの香りが漂う、日本家屋のような心地よい空間は、いい意味で“らしくない”図書館だ。
「我々が目指しているコンセプトの1つが『滞在型図書館』で、居心地よく過ごしてもらうことなんです。さらに『子供の声は未来の声』も掲げていますので、小さな子供のにぎやかな声もフロアに響いています。大人も通常のおしゃべり程度はOKですから、一般の静かな図書館とは対極の存在かもしれません(笑)」(松野さん)