シャボン玉石けん 森田隼人社長<1>無添加にこだわる理念
無添加石けんを世に広めたパイオニア企業のシャボン玉石けん。「健康な体ときれいな水を守る」を企業理念とし、無添加にこだわり続けてきた。
「石けんに無添加という言葉を使ったのは弊社が最初です。主成分以外は何も加えていないという意味ですが、最近は無添加という言葉が氾濫している。有害な化学物質をたくさん使っていても、例えば香料を1つ加えていないだけで無添加とうたえてしまうんです」
こう話すのはシャボン玉石けんの若き社長、森田隼人氏だ。1976年8月、本社のある福岡県北九州市で生まれた。今でこそ、環境問題に立ち向かう企業として注目を集めているものの、当時は無名の存在だった。
「シャボン玉石けんと答えても、相手はポカンとするばかり。地元・北九州でさえも知られていない石けん屋だった。友達の家に行くと、戦隊ものとかディズニーとか、カラフルなキャラクター石けんがたくさんある。私の家には自分のところで出している白い石けんしかなくて、友達が羨ましかった」
そのころは家業に誇りが持てなかった。というより、どんな石けんを出しているのかも興味がなかったのだ。
「他のところとはちょっと違う石けんを出しているんだろうなとは感じていましたが、それ以上のことを知ろうとも思わなかった」