プーチンに「ウクライナ軽視」を教えた“歴史の先生”メジンスキー補佐官
ロシア人は米国にあこがれつつ、文化や歴史では自分たちが上だと信じる「コンプレックス」を抱いている。確かに、文学や音楽で名をはせた大国。しかし、歴史観がゆがんでいたらどうなるか……。安全保障問題が原因のはずのウクライナ侵攻には、大義としてプーチン大統領の歴史認識が総動員された。
■学者ではなくPR業者
小難しい話から始めたが、開戦直前の2月21日の演説を振り返ってみよう。
「ウクライナは単なる隣国ではなく、われわれの歴史や文化、精神空間の不可分な一部」
こんな感じで、1時間近く延々と続けた。つまり「そんな国はなかった」との主張。徹底的に見下し、民間人の犠牲を含めて何をやっても構わないという姿勢は、こうした思考に根差している。
では、これがプーチンの編み出したものかというと、必ずしもそうでもなさそうだ。歴史の授業には「先生」がいる。2012年から文化相を不評ながらも務めた後、20年に大統領補佐官になったウラジーミル・メジンスキーだといわれる。